No.2 団体交渉の威力
「青空ユニオン」は、労働組合に認められた「団体交渉権」(憲法第28条、労働組合法第1条1項)を最大限に活用・駆使して、組合員労働者の利益を実現します。
誠に残念ながら、通常の学校教育では、『憲法第28条は労働三権(団結権、団体交渉権、争議権)を保障している』という全く形だけの話が一言述べられるだけで、将来の雇用労働者である生徒・学生にその内容がシッカリと伝えられることはありません。
その結果、労働組合を介して行使できる「団体交渉権」という強力な武器を全く知らないままの労働者が、使用者による労働法制無視の不当で苛酷な労働条件に苦しみ、痛ましいことに追い詰められて心身を病んだり、更に自らの命を絶ってしまう悲しい例が、後を絶ちません。学校教育の怠慢は明らかです。
それはさておき、貴方個人が社長に対して「私の労働条件に関する不満について話をしたい」と申し入れても、社長には応じる義務はありません。「文句があるなら、裁判でも何でもしなさい」と言われて終わりです。
貴方が弁護士を代理人に立てて、社長に対して同じように申し入れても、答えは同じです。本人に対して応じる義務がないのですから、代理人に対しても、例えそれが弁護士であろうとも、応じる義務はないのです。
しかし、これが、貴方が加入した労働組合からの「団体交渉申入」になると、社長には応じる義務(「応諾義務」と言います)があるのです。仮に応じないと(「団交拒否」と言います)、労働組合法第7条2号で禁止されている「不当労働行為」、即ち違法行為になってしまいます。
それだけではありません。社長には「応諾義務」だけでなく、「誠実交渉義務」まで課せられています。一応格好だけ団体交渉に応じても、内容が不誠実であれば(「不誠実団交」と言います)、やはり「不当労働行為」になってしまうのです。
これらの「不当労働行為」の場合、労働組合法第27条によって、労働組合は県の労働委員会という裁判所のような所に「救済申立」ができます。これは、労働者個人にではなく、労働組合にだけ与えられている特権です。その結果、社長に県から呼出がかかります。
企業別労働組合のない職場の社長は、「団体交渉権」や「不当労働行為」などまず知らないため、「団体交渉申入書」が届くだけでショックです。「団交拒否や不誠実団交を理由に労働組合から不当労働行為救済申立をされ、県から呼び出しを受けた」となれば、どれだけの恐怖か、容易に想像できるでしょう。
「そんな『大それた』ことをすると、解雇その他の不利益取扱いを受けるのではないか?」と心配される方もいらっしゃるでしょうが、そんな心配は全く無用です。そのような不利益取扱い自体が、労働組合法第7条1号違反の「不当労働行為」になってしまうのです。
つまり、解雇無効などで裁判すれば、まず100%勝ちますし、慰謝料まで取れます。社長がそんな愚かなことを『してくれたら』、こちらは手を叩いて喜ぶだけですね。
話を戻しますが、仮に、労働組合以外の団体や、個人が、嫌がる社長を無理矢理交渉のテーブルに着かせたりすると、不法行為として慰謝料請求の対象になりますし、場合によっては「強要罪」として逮捕されたり刑事裁判にかけられたりすることもあり得ます。
しかし、それと同じことが労働組合による「団体交渉申入」として行われると、こちらはそれらの責任に問われない(「民事免責」「刑事免責」と言います)だけでなく、誠実に対応しなかった社長の方が違法な「不当労働行為」に問われてしまうのです。
客観的にはかなり「トンデモナイ」話のようですが、日本国の労働法制は、労働組合にこれだけ破格の特権を与えることで、実は皆さんたち労働者を手厚く保護していたのです。それをキチンと皆さんに伝えてこなかった学校教育の責任は、極めて重いのです。
私たち「青空ユニオン」は、一般組合員以外の「サポート組合員」を積極的に受け入れます。
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