不謹慎な話はできないから、欧州景気は回復するとだけ言っておきます
被害総額を「復興需要」にすり替える。エコノミストが経済効果を算出する際に用いる常套手段です。
一部調査会社の試算では被害総額は1900億ドル(約21兆円)で7~9月期の米国の国内総生産(GDP)には下押し圧力となる。ただ天災の後には復興需要が発生するため、10~12月期以降のGDPには押し上げ要因となるだろう。
ロシアのウクライナ侵攻は長期化しており、未だに終息の兆しはみられません。上の記事にある通り、ウクライナの被害総額はなんと73兆円に及ぶと試算されています。それはおそらく、将来的には巨額の復興需要として欧州景気の楽観シナリオを支えることになるでしょう。不謹慎な話です。
ウクライナ再建は、人道的な見地から最優先されるでしょう。もちろんEUは資金援助を惜しみません。EUの後ろ盾があれば、民間金融機関も安心して投融資を行えます。採算を度外視したファイナンスは最終的に不良債権となるリスクを抱えますが、それでも道義上の理由からファイナンスを止めることは難しいでしょう。
もし信用リスクが顕在化した場合には、金融危機が発生する可能性も否定できません。それでも人々は、金融危機の可能性を指摘することはないでしょう。ウクライナ再建に水を差すような話は不謹慎だからです。
黙っていれば不謹慎ではないのかもしれませんが、エコノミストとしては不誠実な気がします。なので本欄にそっと書き残してみました。ほんの気休めです。
関東大震災の処理のために発行した震災手形の不良債権化で昭和金融恐慌が始まったのがこの年3月である。きっかけは、あまりにも有名な衆院予算委員会での蔵相・片岡直温の「東京渡辺銀行がとうとう破綻を致しました」という失言(実際は誤報)。中小銀行を中心に取り付け騒ぎが頻発し、金融機関だけでなく、大手商社の鈴木商店などが続々と破綻に追い込まれた。
お読みいただき有難うございました。 小難しい経済ニュースをより身近に感じて頂けるよう、これからも投稿してまいります。