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AIは資産運用を「正解」に導けるか

中央銀行総裁の表情のデータをもとに、将来の金融政策を予測するという画期的なAIが、市場で一時話題を呼びました。そうやって導かれた投資判断は、果たして「正解」なのでしょうか。

投資家にとっては、データが自らの資産形成に貢献すれば「正解」です。しかし、データが市場の公正な価格形成を歪めたり、不健全な取引を助長したりするのであれば、多くの投資家にとって「正解」ではなくなります。

一方、大多数の投資家が「正解」であると信じて疑わなかった投資判断が、実は資産バブルを助長したに過ぎなかったケースも枚挙にいとまがありません。昔から、バブルは終わってみないと分らない、とよく言われます。

仮に、AIが的確に「バブルの形成と崩壊」を予見したとしましょう。その情報をもとに、バブル相場をうまく売り抜けた投資家は大儲けです。投資家は次々にそのAIに飛びつくでしょう。しかし、全員が儲かる相場は、それ自体がバブルです。結果的に、AIがバブルを助長することになりかねません。

資産運用におけるAIなどのデータ分析は、政府など公的機関による健全・公正な価格形成の促進に活用するべきだと思います。相場の予測にAIを活用しはじめると、プロシクリカリティー(循環増幅効果)を過度に強めてしまうおそれがあります。黒田日銀総裁がうかつに表情を変えられなくなってしまうのも気の毒です。政策のコミュニケーションは人間に任せましょう。


#データの世紀 #データ至上主義

お読みいただき有難うございました。 小難しい経済ニュースをより身近に感じて頂けるよう、これからも投稿してまいります。