見出し画像

オンライン飲み会で「行きつけ」の在庫を一掃しましょう

できれば私も応援したいです、「行きつけ」のお店を。新型コロナ終息後の飲食代を先払いすることで、足元の資金繰りを支援するなんて素晴らしいアイデアだと思うし、テークアウトを積極的に利用することも、外食店への大切な応援になるでしょう。

でも私の場合、行きつけのお店がいずれも会社の近くにあるので、在宅勤務中はテークアウトを利用できません。飲食代の先払いシステムについても、もし採用されれば利用しますが、当然ながらコロナ終息後の来店時の支払い額は少なくなりそうですし、景気が悪いので客足はすぐに戻らない気がします。

将来の収益回復の見込みが立たなければ、外食店は材料をあらかじめ多く仕入れる気にはならないでしょうし、卸小売なども在庫を少なめに手当てするでしょう。在庫投資が少なくなった分、メーカーの生産数量も目減りしますし、雇用や残業も増えません。このように、在庫投資の減少ないしは在庫の取り崩しは、日本全体でみると経済成長の下押し圧力となり、コロナ終息後の景気回復の足かせとなります。

コロナ終息後の景気を急回復させるためには、国内全体の過剰在庫をあらかじめ減らしておくことが大事です。同時に、売り上げが回復した時に原材料などを直ちに仕入れられるよう、十分なキャッシュフローを確保しておく必要もあります。政府があらかじめ、民間企業から在庫を買い取った上でキャッシュを支払うことができれば、先行きの在庫投資の急増と生産の急回復が期待できます。

政府による民間在庫の買い取りは、過去の金融危機における公的機関の株式買い取りに少し似ています。

清水一行の小説「兜町物語」に、ある大手証券会社の株式本部長が1965年の証券不況を見事に乗り切ったシーンが描かれています。その手口はざっくり言うと、危機に際しては現金を確保するべく徹底的に在庫(保有株式)を売却し、状況が好転した際にはその現金を元手に一気に攻勢に出る、というものでした。ただし、その戦法が通用したのは株式を買い上げるための特別な機関(日本共同証券、日本証券保有組合)が存在したことが大きいようです。

もちろん、民間在庫は株式などの金融商品とは異なり、政府が簡単に買い入れたり売却できるものではありません。それでも、冒頭の記事にあったような民間による「応援」を資金面からサポートすることは可能です。例えば、行きつけのお店にある料理やアルコールをキャッシュレス決済で50%くらいポイント還元し、ついでに自宅まで宅配してくれれば、最近はまっているオンライン飲み会で大量に消費させていただきます。


お読みいただき有難うございました。 小難しい経済ニュースをより身近に感じて頂けるよう、これからも投稿してまいります。