しおひがり棟の軌跡①
先月、co-ba kamaishi marudaiの隣の空き家だった建物をリノベーションして、借主と賃貸借契約を結んだ。
借主は不動産情報サイトなどを運営する、株式会社LIFULLだ。
同社は子育て中の母親(まれに父親?)が子どもを連れて働きに行けるLIFULL FaMという施設を、全国で展開している。
今回新しく開設されたLIFULL FaM釜石は、その5番目の拠点になる。
なぜco-ba kamaishi marudaiの隣にそれが出来ることになったかということを、可能な限り簡単に説明すると…
4年前、釜石市に「地域おこし企業人」としてLIFULLの社員K氏がやってきた。
空き家の活用を担当したK氏は、釜石大観音仲見世のリノベーションの活動に興味を持ち、自腹を切ってco-ba kamaishi marudaiの会員となった。
2年の任期が終わるころ、置き土産として、テレワークや子育てママの働く場所を作りたがっていた釜石市長にLIFULL FaMの事業を紹介し、釜石市とLIFULL(FaM)に連携協定を結ばせた。
もう一つの置き土産として、元LIFULL社員のS氏を、LIFULL FaMの釜石での現地要員として地域おこし協力隊の釜石ローカルベンチャーにエントリーさせた。
S氏は釜石で人脈つくりやセミナー開催などで人的土台を作り、いよいよ拠点整備に乗り出した。
そこで、僕が「ぜひLIFULL FaMを仲見世で!」と誘致したということだ。
また補足として、釜石ローカルベンチャーはco-ba kamaishi marudaiをオフィスとして使っているため、S氏とは日常的に顔を合わせている。
働く場所の隣に拠点を作るというのも、都合がいいわけである。
拠点となった空き家は、1年ほど前に所有者から「買う人がいないか」と相談されていた。
それを買い取ってリノベーションしたのだが、これまでco-ba kamaishi marudaiやsofo cafe、あずま家などで行ったように、予算をおさえるためDIYを交えることにした。
つまり、設備工事や造作、建具工事などは工事業者に委託し、それ以外の内装工事を自分ですることにしたのだ。
建物の状態と、必要な性能などを考えると、けっこう金がかかりそうだった。
工事費は5年分の家賃でまかなえるようにするのがセオリーだが、なかなか厳しい。
必然的にDIYで行う工事の割合が、かなり多くなった。
これまで仲見世で実施してきたリノベーションと比べても、かなり多く、技術的にも難易度が高い。
特にチャレンジングだったのが、屋内階段の設置である。」
また、今回の建物は前2棟よりも、状態の良くない、いわば問題児だった。
雨漏れや、水漏れによる構造材の腐食があり、空き家状態が長いため、痛みが激しかった。
この問題児を、なんとか賃貸物件としてよみがえらせた、その軌跡と得られた知見などを今後シリーズで投稿しようと思う。
タイトルの「しおひがり棟」とは、この物件の所有者側の識別名である。
物件を購入するにあたって、僕は釜石市に法人登記を行い、その会社の所有とした。
会社名は合同会社ロータイド。
ロータイド(LOW TIDE)とは潮が一番低い時の状態、つまり干潮のこと。
それにちなんで、しおひがり棟と名付けた。
しおひがり棟の軌跡シリーズ投稿の、2回目以降のテーマは以下の通りだ。
・雨漏れとの戦い
・2階に風呂を作ってはいけない
・和室を洋風に
・階段をDIY
・残材を使う
・布を使う
・DIYの効果