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一夫多妻で解決できるのか?
人口減少問題に関して、一部の有名人…彼らを何と言い表していいかわからないが、具体的にはホリエモンこと堀江貴文氏とか、先日の都知事選で2位落選となった、石丸伸二氏などである…が、日本は一夫多妻制にするべきだと言っている。
学歴でいうと、それぞれ東大、京大卒である。
俗っぽい言い方をすると、賢い人たちである。
また、その他にも、もう少し昔に有名な建築家が、そう発言しているのを聞いたことがある。
公式の場ではなく、飲んでいる席だったので、どこまで本気だったのかは不明ではあるが、尊敬してやまない建築家の言うことだったので、そうなのか?と思ったりもした。
確かに現代の一夫一妻制度は、その後に徐々に浸透してきた、自由主義、個人主義によって、機能しなくなっていると思われる。
結婚できない人も多いし、離婚も多い。
一夫一妻制度による子孫繁栄を担保していたのは、対になっていた家制度であろう。
現在は家制度のほうは廃止され、徐々に概念としてなくなりつつある。
長男は家を継いで、家を守る必要はなく、女性は配偶者の家に嫁として入る必要もない。
結婚相手は自由意思にしたがって決めることが出来る。
親や親族が、しつこく「結婚しろ」と言ってくることも、時代とともにだんだんとなくなってきているし、今でもそれを言われるような田舎からは、女性の流出が多いとも言われている。
死亡する個体よりも、生まれてくる個体が少ないということは、その個体群は、持続可能な種(民族)ではないということである。
言い換えれば、エコシステムが構築できていないということである。
このままいくと、日本人は絶滅する可能性もある。
前述の賢い人たちは、もちろんそれを懸念して、一夫多妻制を提案しているのだろう。
なるほど、現在の未婚率や、出生率からすれば、算数的に考えて、一夫一妻制が問題であることは容易にわかる。
国としては、同じ制度を維持しつつ、子どもをたくさん作りたい気持ちのある夫婦に、たくさん産んでもらうための経済政策を考えているようである。
それはそれで、平均すると出生率が上がることになり、算数的に考えると成立するように思える。
一方、一夫多妻のほうは、男性の人数は無視して、女性のほうに確実に子どもを産んでもらうという考えである。
人口の半分を占める女性が、平均して1人につき2人以上子どもを産めば、出生率が2以上になり、人口は減らない。
そのためには、女性の恋愛感情を優先する必要がある。
すると、魅力ある男性にニーズが集まりやすく、一夫多妻が合理的というわけである。
現状は一夫一妻にこだわっているから、一定の割合の男性が、異性を惹きつけられないことが、少子化の原因となってくるのである。
生理的に受け付けない(死の宣告である)男と結婚するぐらいなら、一人のほうがいいという女性が一定数、発生してしまうということだ。
一見、モテる男性だけが利益を得るようなシステムだと思うが、そんなわけで、女性のほうからも一夫多妻を望む声を聞いたことがある。
ただ、僕が問題だと思うのは、これを言っているのは(一部の女性を除き)頭がよくて、お金も持っている、堀江貴文氏や石丸伸二氏のような人だということである。
自分が多妻を持つ夫になれると確信しているから、このようなことを言うのであって、自分が一生結婚できないという立場で考えてはいないのではないだろうか。
現在でも「無敵の人」問題というものがあるが、この問題を助長することになると思われるし、当然ながら、多くの女性にも、耐えがたい苦痛を与えることが予想される。
その結果、一部のモテる男が、この世の春を謳歌する一方、報われない男性からの恨みや、女性からの嫉妬を招く可能性が高く、なんらかの暴力事件に発展することも懸念されるところであろう。
格差が大きくなるほど、犯罪が増えるというデータもある。
自由は保たれるかもしれないが、平等という点では大きく後退する。
そもそも一夫一妻制度は、近代的な婚姻システムであり、中世的な一夫多妻制度に戻ることが、社会の持続や発展に寄与するとは考えにくい。
進化の逆の道に進むような感じである。
賢い人の考えることは、もっと深いのかもしれないが、なんとなく自分にとって都合のいいことを言っているだけに思えてしまうのである。
現代的なシステムを考えるなら、例えば、結婚するかしないかに拘わらず、避妊をしない性行為や、出産が出来るような社会制度を作る。
自分で育てられない親が多いなら、AIを使って里親マッチングするとか、設備や環境の整った孤児院(名称は考える必要がある)を整備する。
また、恋愛や結婚を経ずに、同様にAIによるマッチングで、人工授精や代理出産で、子どもを作るというルートも考えられる。
そういう発想は全くなく、中世に戻るような一夫多妻のほうがいいという根拠が、どうもよくわからない。