【後編】みやざきミライ史 裏トーク
対談者:宮崎市役所 吉瀨 正明 × 公共とデザイン 石塚 理華
「みやざきミライ史」の裏側を紐解く対談シリーズ、後編!
運営チームが語る!プロジェクトを経て、一人ひとりの心に灯された「宮崎市 」と広がる繋がりとは??
前編に引き続き、メンターとして関わった工藤美優・三井麻衣が設定したテーマをもとに、宮崎市役所の吉瀨正明さんと公共とデザインの石塚理華さんに対談していただきました!
みやざきミライ史への可能性
三井:
学生たちが自身の変化や気づきをプロジェクト以外の場所でも発揮している様子がありましたが、今後も宮崎が歴史を紡いでいく中で学生たちにどんな可能性があると思いますか?
吉瀨:
若い人に限らず、誰でも、生きたいように生きる権利はみんなにあるので、今回のプロジェクトに参加した学生のなかには、将来、市外や県外(もしくは国外)に飛び出していく子も出てくると思いますが、今回の経験が、宮崎市にいてもいなくても、その人の中で宮崎市を想ってくれるきっかけになればと思うと同時に、スタートから様々なプロジェクトを経て、宮崎市と関わる体温が上がったというか、 地元に対する熱量が上がった感じがしているので、 参加した若者の全てがこれからの希望です。
仮に市外や県外に暮らし、そこでそのまま仕事をし、生活をすることになったとしても、「私、宮崎市で暮らしてたんですよ」「宮崎市って実はこんなところでこんな楽しいことがあるんですよ」って他人に対し 話すシーンが少なからずあると思っていて、そこで主体的に話すってことは実はめっちゃくちゃ大事なことだよなって。そういう人が増えるだけでも、今後の宮崎市は変わってくるんじゃないかなって個人的には思っています。
日常から捉える、自分と地域の繋がり
石塚:
吉瀨さんが言ってくれてたことが 一番大事かなと自分も思っています。そのうえで、 宮崎に限らずですが 、 自分の生活や行動が地域と繋がってる感を持てるかというか。大臣が決定したから国が動いてるとか、市役所が決めたから市が動いてくれるだけではなく、「自分はこんな日常がいいよね」って思いながら動いてみることで、ちょっと周りが変わったりとか、世の中の見方が変わっていったり。自分の力で変えていくことができるよねという感覚をちょっとでも持てたかなと。何かしらの自信にはなってると、変化を見てても確信できます。
自分がやれることに自信を持つことや、自分の生活が社会と繋がってるよねと信じられることが一番大事というか。
繋がる、広がる、関係人口
石塚:
あとはプロジェクトを通じて 、自分が住んでた地域や学生時代 のことを考える機会がたくさんありました。生まれてから高校まで自分の地元で暮らしていましたが、自分の生活圏内の場所や友達以外に関わった経験は、あまりありませんでした 。そのためプロジェクトでは、 学生が街の人と対話する機会や、メンターとして社会人数年の方や宮崎にUIJターンされた方に関わってもらうなど、いろいろな角度から宮崎の人と関わり接する機会をプロジェクトの中で設けました。
ある学生がプロジェクトの始めの方に行ったヒアリングで会って話した大人と、後半に差し掛かっても、LINE でたまに連絡してるという 素敵な話を聞きました。 プロジェクトで行き詰まったこととか、モヤモヤを相談しているみたいです。そういう風に繋がりを深めていることに希望を感じました。
吉瀨:
それは初耳でした。高校生にとって、学校や習い事以外で他人に繋がる経験って多分なかなかできないですし、すごい経験をしている!って思います。本当に10年後、20年後に思い出せるようなものがあるっていうのは 、宮崎市から離れた場所にいても、戻ってみようかなとか、連絡とってみようかなって思うきっかけになったりしますよね。
「 宮崎市って人があたたかい 」
石塚:
「 宮崎市って人があたたかい 」と話す学生の多さに私はびっくりしました!そこの県民性を言語化する中で、悩む学生もいましたしね。でも学生たちが、宮崎は あったかい人が多いと信じているというか、共通意識としてみんなが持ってるのだなと。
今後の展望と市民へのメッセージ
三井:
最後に、今後の展望と市民へのメッセージをお願いします!
吉瀨:
なんか行動するというか、一歩踏み出す経験を今回のプロジェクト通して学生たちは頑張ってくれたんですけど、どんどん変わっていった、生き生きしていった姿があるので、そこからさらに触発されて、身の回りのことでいいと思うので、一歩やってみる勇気というか、その変容が本当に求めていたところなので、 もともと目標としていたシビックプライドの醸成というところとまた少しずれてしまうかもしれませんが、今後も続く宮崎市の歴史の中で、宮崎市に関わっていろんなことを考えたということが生かされてほしいです。
またこれは若い人に限らず 、様々な世代の方にも含めて広がっていけばいいなと思いますね。 今回の提言のなかにもある「好き」や「興味」で 繋がっていくような小さな繋がり・良い影響を与え合う空間のあり方は、行政職員の視点としても非常に勉強になりました。
石塚:
そうですね、 そこから自分でやってみようかなって思えるものが、どれくらい出るかなっていうところはまた楽しみでもあります。もちろんすぐに何かアクションに繋がった方が成果にはなりますし、大人としてはそうあってほしいですが(笑)あの時あんな見方をすることで面白かったな、ちょっとやってみようかなといつか思えたら良いですね 。
良くも悪くも「政治」や「まちづくり」にどっぷりではない学生たちが、 街の未来や自分たちの生活に 、どんなことを望んでいるのか、それがどういう宮崎になったらいいかっていうところまで、多少なりとも目に見えるものができました。それって行政にとっても、ものすごく資産だと思っています 。基本構想や計画に乗らなかったとしても、 施策や事業レベルでそういうものあるよねっていうのを思い出すタイミングがあったりとか。
個人のもやもやを政策や宮崎の人たちの生活に関わりうる提言に繋げていくようなプロジェクトはたくさん事例があるわけではありません。地元学生と市ががっつり入ることは結構面白いプロジェクトになったのではないかとは個人的には思っています。ただ集まって、求められてる提言らしいものをなんとなく作って「はい 終わり」じゃないというか。少なくとも今回参加した学生たちは。
1/12(日) 市制100周年記念トークイベントでの発表「若者ミライ提言」について
吉瀨:
当日は、堺さんのトークを見に来られる方に向けて前の時間を借りるので、ほとんどがこのプロジェクトの発表目的で来ている人ではありません。だからこそ、家族以外の大人たち、宮崎で生活する第三者へミライへのボールを投げられるんじゃないかなと思います。
メンターへの急な振り!(笑)
吉瀨:
お二人はいかがでしたか?
三井:
私たちは大学の産学連携プロジェクトで宮崎にきて、私は学生時代主に日之影町の山で活動していたんですけど、大学卒業してから公務員に近い仕事をしていたので、学生の時みたいに自分から飛び込んで何か活動したいと思ってもなかなかうまくいかずにモヤモヤしていて、、
そんなタイミングでこのプロジェクトのお声がけをしていただき、それまで単独行動が多かったので学生たちと一緒に考えるのが楽しかったです。チームワークの中で自分の考えをどう表現していくんだろうというところは、私も学生の成長を見ながら吸収するような感じで参加できてすごい良かったなって思います。
工藤:
私たちの場合は東京から来たので、都会と宮崎のギャップを感じながら活動していましたが、今回の学生達は外を見るのではなく、自分の町を見るというのがすごい大きな違いだと思いました。 私たちは外を見たから自分の地元も見えるようになったものが増えましたが、最初から地元を見るってできるのかなって不安に思ってました。
でも回数重ねるごとに、みんな変わったというか、地元を好きになったんじゃないかなって思えるような言葉がいっぱい出てきてるのですごいなと思ってます。本当に希望ですね。
吉瀨:
学生達は今回のプロジェクトで本当にずっと自問自答してたというか、普段学校でやらないような考えとか授業でやらないことばかりしてくれたので、それが良かったのかなって思ってます。
工藤:
一番初回の方の街歩きして写真撮るリサーチの時は不安でいっぱいでした(笑)でも今街歩きしたら全然見え方違うんだろうなって思います。
石塚:
外の世界と相対化することが一番わかりやすいですよね。 でも、ちょっと視点を変えることで、自分のいつもの日常でも世界が広がっていくみたいなものが、できるかなと思っていて。それぞれの持つレンズというか、おもしろがる対象や興味を発見することでこんなに違う世界が見えるんだ、ということを感じて取ってもらいたくてやってましたね。
あとは、UIJターンで宮崎に暮らしているメンター(三井・工藤)や ヒアリング等で携わってくれた大人たちとか、そういう人たちがもつそれぞれのご経験や人生から、 いろんな見方を教えてくれるんじゃないかなって期待して声をかけていました。 多分それも、学生にとっては その瞬間はあんまりわからなかったことがたくさんあったと思いますが、時間が経ったときに 「あのとき、あの人が話してたことはここに繋がってるんだ…」 という腑に落ちる瞬間もきっとあるのではないか と思います。
後編ではみやざきミライの可能性についてお話していきました。
プロジェクトの最初の方は先入観や固定観念が邪魔をして、どうなるのかちょっぴり不安もありましたが、少しずつ街の見え方が変わっていく学生たちを見て、運営チームも多くの学びを得て有意義なプロジェクトになっていった様子が伺えました!
このプロジェクトで生まれた情熱が少しずつ広がり、100年後も人々が笑顔で暮らす、暖かく明るい街でありますように。
最後まで見てくださり、ありがとうございました😊
編集:工藤美優・三井麻衣(メンター)