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三宅陽一郎 短編小説集

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#人工生命

ある秋の人工生命 

「ある秋の人工生命」          ※2024/11/24 改訂
                                  三宅陽一郎

誕生
 クルス・ホームレイクタウンは靄でおおわれていた。ある晩秋の日、この地上より遥かに高い次元から街の真ん中にあるクルス湖に人工生命の原液《スープ》が投げ入れられた。月の光が惜しげもなく、阻むものもなく注がれ、その光を吸収した原液《スープ》から人

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「いま、言葉で」(小説)

 私は人工生命にかけることにした。私は筆を折り、何も書かず、ただ人工生命の語る言葉に耳を傾ける。人工生命は覚えた言葉やその砕いた音をランダムに発する。それが偶然、連なって、意味のあるフレーズになることがある。ただ、ほとんどのその言葉の連なりは、口から出て虚空に消えていく。それは意味のないメロディで、私はそこに知能の源流を見出そうとする。
私が行うのは、人工生命に言葉を与えるだけだ。ただ与えるだけで

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