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三宅陽一郎 短編小説集

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ある秋の人工生命 

「ある秋の人工生命」          ※2024/11/24 改訂
                                  三宅陽一郎

誕生
 クルス・ホームレイクタウンは靄でおおわれていた。ある晩秋の日、この地上より遥かに高い次元から街の真ん中にあるクルス湖に人工生命の原液《スープ》が投げ入れられた。月の光が惜しげもなく、阻むものもなく注がれ、その光を吸収した原液《スープ》から人

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『ロボットの国』

「ナワテ、それは本当に必要なの?」と彼女は言った。
「必要だからいるんですよ。誰にとって、は、おいておいてね」

俺たちは砂漠の真ん中のカフェのテラスで話し合った。目の前には、果てしない砂漠の荒野が広がっている。何百度目かの光景、何千度目かの学習。俺の中の報酬系が敵に勝つことを運命付けている。俺より旧式の彼女は俺より一世代前の人工知能だ。だから、もっとこの戦争にうんでいるのだ。俺たちは戦争開始時間

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