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三宅陽一郎 短編小説集

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2016年4月の記事一覧

SF短編「夜明けの知能」三宅陽一郎

第一章 「邂逅」

 男の前には一本のビールが置かれていた。男は先程からそのビール瓶を一心に見つめている。いや、ビール瓶を見つめているのではない。その向こうに彼がこれまでの人生で飲んで来たすべてのビール瓶の記憶を並べて見つめている。男に残された時間は少ない。三十日後には解体されスクラップにされてしまう。男の名はサムエル。四十年前に労働者ロボット「レーバー」として製造された、初期型のロットである。見

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