黎明期のパソコンゲーム開発#36
ここからはパソコンで開発したゲームの第2弾、ZAXUSの開発について書いていきたいと思います。
■ZAXUSを創る ~アイデアと基本コンセプト~
1.アイデアを出す
まずこれがZAXUS(ザクサス)として発売されたゲームのパッケージ。
簡単にいうと、UFOを操作して逃げる人(サイボーグ戦士)をビームで捕まえるというゲームです。
画面を見た方や、AppleⅡのゲームを遊んだ方からは「チョップリフターに似たゲーム」とよく言われましたが、まさしく「チョップリフター」をオマージュした作品でした(下記はAppleⅡ版チョップリフター)
またZAXUSでは背景にドット単位で流れる星(面によっては3重スクロール)を用意していました。これは同じくPC-8001作品「STARTREK PartⅡ」の流れる星の画面をみて、「おお、きれい!」と感動した思い出からオマージュしています。
そんな作品も、FANFUNと同じく初期は簡単なアイデアメモの積み重ねで作成を始めていました。
ただアイデアも思いつくままにメモしていくスタイルだったため、綺麗にまとまっておらず、方眼紙やメモ用紙に殴り書きという感じでした。
2.基本コンセプト
そしてアイデアを含まらせた後、何をゲームの基本とするか「基本コンセプトづくり」を始めました。
このゲームの基本は「救助」と「かっさらう」という点。「救助」とは当初はこのゲームは救助用ヘリコプターで助けるという事をアイデアとしていたため、武器は持たない・相手からの攻撃をよけるしかなく、しつような攻撃からよけることに面白さを与える必要があることから、なめらかな動き・カクカクしないスクロールを必要としました。
そしてもう1つの「かっさらう」はビームで人を「ざくざくかっさらう」ことが出来ること。落ちているお金をザルでまとめてすくいあげる感覚で「まとめてかっさらうと気持ちいい」という事を実現したくてトラクタービームという表現を用いていました。
当時はゲームはまだカクカクした動きのものが多かったなかで、なめらかにスクロールし瞬間的な動きにも機敏に反応する自機、高速スクロール中にも多数の人をビームを出しながらザクザクかっさらう動きを表現するため数々のプログラミングテクニックを駆使したゲームになっていました。
そのため何度も作り直し、PC-8001の性能・メモリ限界との闘いだったため、結果として約1年近く開発期間を要したと思います。
ちなみにNo.4-1というのは開発したゲームの封筒の数。実験作・移植作を含めてZAXUSは4本目の作品。当時完全ハンドアセンブルで大学ノートにプログラムを書いていたため、開発には大学ノート何冊にものぼっていました。そのためこのような封筒に何冊も開発したプログラムのリストを保管していました(もう全て捨ててしまいましたが)。
次回はゲームの開発を進めるための画面設計および背景描画について書きたいと思います。