黎明期のパソコンゲーム開発#46
黎明期から成長期へ ~ハードの性能向上/開発環境の充実~
PC-8001が1979年に登場した後、FANFUN/ZAXUSを開発した時にはすでに6年近くが経過しており、PC-8801・PC-9801とパソコンは次々に新しいハードウェアが出回って来ていました。
ハードウェアの進化とともに使用できるメモリも増え、グラフィックも解像度が高く扱える色数が増えていき、それまでメモリ利用を切り詰めるために様々な工夫をし、制約のあるグラフィックの中でいかにキャラクタを表現するかなど、ハードウェアに対する制約はなくなっていったかと思います。
ちなみに今のパソコンのアイコンのサイズは60Kbyte近くあり、昔のPC-8001の拡張メモリの容量よりも多く、今のアイコンほどのサイズの中に全てのゲームのロジック・キャラクタなどを全て詰め込んでいたことになります。
もちろん、当時はスプライトもなく、グラフィックについても専用グラフィックボードもないためDMAで処理が止められるなどCPUの実質の処理能力もかなり限られていたかと思います。
下記は当時のPC-8001と、40周年記念のPCと比較してのスペック比較。CPU性能比較は単純にはできませんが、メモリも当時の500倍近くになりゲーム開発における性能的な制約というのはほぼなくなってきているように感じます。
グラフィックが粗いがゆえに、大きなキャラクタがびゅんびゅんスクロールできるZAXUSが当時は出来たのかもしれませんが、様々な制約がある中でいかに面白いゲームを創るかが黎明期のパソコンゲーム作りの腕の見せどころだったのかもしれません。
また当時は開発ツールもほとんどなく、今では当たり前のアセンブラ・コンパイラなど各種開発ツールも少なかったため移植するにも一苦労でしたが、今では開発ツールが充実しているため分業も可能となり、作品としての保守性や改良も楽に出来るかと思います。
遊びのロジック作りと音や画面効果のバランスまで1人で考える時代から、プラグラマとデザイナ、サウンド担当やグラフィック担当と分業が可能になってきたのが黎明期から成長期への大きな変化のようにも思います。
次回はゲームの質の変化と、ユーザ層の拡大の面について書きたいと思います。