黎明期のパソコンゲーム開発#18
■FANFUNを創る ~キャラクタに動きを加える~
1.操作方法と風向き
FANFUNのルールは非常にシンプルであるがゆえに、メインキャラクタである風船の動きが重要と考えていました。
そのため風船の動きをよりリアルにするため、風によってふわふわと動きまわり、回転などを表現することで表現を高めています。
ただし見えない「風」を与えることで風船の方向を操作するわけですから、いかにも「風」が風船に当たっているように思わせる必要があります。そのためFANに羽をつけ、羽の方向に風船が乗った時に動きが変化するようにしていました。
これは各キャラによって動きが若干かわるように工夫した時のメモ。風船が穴から出る時の初速度・向き、そして風船毎の回転方向や壁に当たった時の動きなど、細かい差をつけています。
各風船毎に回転をみせる工夫の方眼紙イメージ。メモリ的に回転方向毎のパターンを全て持つことは出来ないため、顔の基本パターンを回転の位置毎に重ね合わせることで、回転を表現するようにしています。
またFANFUNの操作方法はちょっと変わった配置にしています。
FANを左右に移動させるのに加え、回転という要素を入れるため、キーボードの配置は左右の指2本で操作できるように配置。当時はゲームパッドなどなく、ゲームを遊ぶときの標準的なキーボード配置など確立されていなかったため、独自の配置となっていました。
下記はマニュアルに記載されているキーの操作説明
実際のキーボード配置はこんな感じ。スペースキーをはさんで左右2本の指で操作しやすいようにしています。
2.キャラクタに名前をつける
パックマンのキャラクタにも愛称がついているように、各キャラクタにも名前をつけるようにしました。
下記はマニュアルに記載した各キャラクタの名前紹介。作品が完成した後、ENIXに送った手書きのキャラクタがほぼそのままマニュアル化されました。
各キャラクタを描いた方眼紙の元絵(没キャラクタも一部残っています)。
当時はゲームの操作方法などあまり統一されておらず、キャラクタについてもグラフィックよりも文字を組み合わせて表現するものが結構多かったので、方眼紙にキャラクタイメージを描いては画面に映し、実際の画面を見ては作り直すという地味な作業をしていたように思います。
次回はFANFUNの各面のバリエーションについて書いて行きたいと思います。