大体鈍行で進む本土縦断旅 | 燕市の金属産業を知る25日目
燕三条から始まる25日目。
本日は、燕三条駅周辺を見て回る事にした。
メインは燕三条駅から徒歩30〜40分くらいの所にある、燕市産業史料館。
時間が合えば、燕三条駅からのコミュニティバスで史料館入り口まで行ける。
燕市産業史料館は、燕の金属産業の歴史や技術の発展、職人や銘品などの数々の展示がある。
更に、金属工芸の技術を体験できる体験工房館もある。
まずは展示を一通り見て回った。
本館1階では燕の金属産業の歴史や、鎚起銅器、鍛金・彫金技術などが紹介されている。
燕の金属産業は、江戸時代 信濃川の氾濫被害に遭いやすかったこの地域で、農民たちの暮らしを支える副業として始まった和釘作りが起因と言われているそう。
本館2階は燕の金属工芸品 銘品ギャラリー。
ここはもう完全に美術館。匠の技が凄すぎる。
人間国宝 玉川宣夫氏の歩みを、作品とご本人のコメントと共に知る事ができる展示もある。
矢立煙管館は、その名の通り矢立と煙管の館。
燕出身の実業家であった丸山清次郎氏が収集していた、丸山コレクションの中から紹介されている。
矢立とは昔使われていた筆と墨壺を組み合わせた携帯用筆記用具で、万年筆が普及する以前に良く使われていたらしい。
新館では、燕の金属用食器の歴史に関する展示や、技術発展の歩みなどを見る事ができる。
世界中のスプーンを収集していた伊藤豊成氏のコレクションが展示されている、世界のスプーン館もある。
どうでも良い話だが、洋食器を指す「カトラリー」という言葉を、私は結構長い間「カラトリー」と間違えて覚えていた。
最後に立ち寄ったのは体験工房館。
体験工房館では、5分くらいで体験できるチタン製スプーンの酸化発色、小皿やぐい呑みを錫板から製作する体験、槌目模様を入れる体験などが予約不要で随時受付で体験できる。
別途体験料はかかるが、作ったものは持ち帰れる。
私はこのチタン製スプーンの酸化発色体験がやってみたくて、産業史料館に立ち寄る事にしたのである。
チタンの発色は、電気分解によりチタンの表面に透明な酸化皮膜を形成させ、皮膜に光が入反射する事で光の色が発色として見えるらしい。
酸化皮膜の厚さで色を調整するため、電流を流した電解液に浸す時間で色を調整する。
…という感じの説明を受けたのだが、実際に色が変わっていく様は本当に不思議だった。
この体験は少し化学実験っぽいですね。
まだまだ旅が続くので荷物懸念で食器製作は今回見送ったが、いつか他の体験もやってみたい。
最初はチタンスプーン着色体験目当てで行った燕市産業史料館だったが、展示も全部面白かった!
燕は金属産業が盛んである事は知識として知ってはいたが、展示を見ていたら加工技術に俄然興味が湧いた。
史料館を出てすぐ、鎚起銅器の老舗「玉川堂」の工場見学を明日予約。
展示でも紹介されていた人間国宝 玉川宣夫氏の工房でもあるらしい。
燕三条駅に戻り、駅改札前にあるJRE LOCAL HUB 燕三条に立ち寄った。
ものづくりコンシェルジュの方が常駐していて、開発したい商品を相談すると100以上の燕三条地域の工場とのビジネスマッチングをして、開発サポートをして下さるらしい。
私はただの観光なので、中の展示をぼんやり眺めていたら、コンシェルジュの方が見学や体験ができる工場を色々紹介して下さった。
全部めちゃくちゃ行きたい!
明日の玉川堂見学の後、行けそうな所どこか行ってみようかな。
本当は明日はあまり出かけず、休息日にしようと思って1泊余分に宿泊予約していたのだが、これはもうバッチリ活動する事になるだろう。
こういうのも適当旅の醍醐味ですよね。
26日目に続く。