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「ガザは永遠に我々のものだ」 ―国連が撤廃を要求する植民地主義をイスラエルはひたすら追求する

 イスラエルも加盟する国連は植民地主義を完全かつ早急に撤廃し、国連憲章や植民地独立付与宣言、世界人権宣言の規定を順守するように加盟国に要請しているが、イスラエルでは植民地主義を推進する傾向がますます強まっている。

 「ガザは永遠に我々のものだ」というスローガンの下、イスラエルの極右など急進的政治家と右派政治家たちがガザ境界近くの10月20日から21日にかけてイスラエルのベエリ入植地で集会を開いた。
 この集会には極右のイタマル・ベングビール国家治安相、また同様に極右のベザレル・スモトリッチ財務相、ネタニヤフ首相と同じ右派政党リクードに属すメイ・ゴラン女性地位向上担当相、さらにリクードの国会議員10人が参加した。

「ユダヤ教は植民地支配を拒絶する」とあるではないか 10月発売の新刊 アマゾンより



 「ガザ再定住の準備」と題されるこのイベントは、悪名高い極右入植運動組織「ナハラン入植運動の指導者ダニエラ・ヴァイス(1945年生まれ)が主導して開かれたものだ。ヴァイスは国際法では違法とされるヨルダン川西岸のイスラエル入植地ケドゥミムでも市長を務めたことがある。2007年から「ナハラ」の代表を務めている。カナダ政府は、今年6月27日、彼女がパレスチナ市民に対する暴力を助長したという理由で制裁を科した。ヴァイスは、イスラエルのブネイ・ブラクで育ったが、父親は米国出身、母親はネタニヤフ首相の家系と同じポーランドのワルシャワ出身だ。

違法な入植地拡大を推進する活動家のダニエラ・ヴァイス 邪な魔女みたいな感じです https://www.haaretz.com/israel-news/2017-06-16/ty-article-magazine/.premium/veteran-settler-offers-glimpse-into-religious-zionist-vision-for-israel/0000017f-f583-d460-afff-ffe739310000


 イスラエルは軍と入植地を2005年にガザから撤退させたが、これによって軍隊を2007年に始まるガザ封鎖の任務に就かせることになった。ガザから撤退した15のイスラエル入植地に住んでいたのは8,500人の入植者たちだった。撤退の措置はアリエル・シャロン首相(在任2001~2006年)によって主導されたが、ガザに居住していた入植者たちはこれをイスラエル国家への「裏切り」と見なした。

 イスラエルは入植という植民地主義によって発展してきた国で、特に右派勢力は植民地的拡大を宗教的司令と予言と結びつけて考えてきた。右派勢力からは入植地の撤退は国家への反逆と宗教への冒涜と考えられている。

 極右勢力などは進行中のガザ戦争の決着をガザでの入植地の再建と結びつけたい。ヴァイスは、ガザでの入植地再建を既定の路線として考え、ガザの入植地で生活するイスラエル人の登録を呼びかけている。ヴァイスはすでに500世帯が登録したと発表している。こうしたヴァイスらの運動が政府の意思決定と無関係に進められているわけではない。ネタニヤフ首相は昨年ハマスの奇襲攻撃が起こると、「ガザの住民に言う。今すぐ立ち去れ。我々はあらゆる場所で武力行使する」と述べた。

ヴァイスの主張 「パレスチナ人たちはガザから消える」 https://www.youtube.com/watch?v=ESb-9xYZtyE


 続いて昨年10月17日、イスラエルのミスガブ国家安全保障・シオニスト戦略研究所が明らかにした文書は、「ガザ地区全住民の移住と最終的な定住」を求めた。ナチス・ドイツがユダヤ人の最終的地位を協議し、ユダヤ人たちの東方への強制移住を決定したことを彷彿させる。この文書では、現在のガザ戦争を「ガザ地区全体をシナイ砂漠に避難させるための他に例を見ない稀有な機会」とみなした。10月後半にはイスラエル情報省も介入し、イスラエルの経済紙「カルカリスト」は「ガザ住民をシナイ半島に移転することを勧告する」文書を発表した。12月にネタニヤフ首相はリクード党員たちにイスラエルの主要な課題はガザの住民を受け入れてくれる国を見つけることだと述べた。

イスラエルはガザの人々はシナイ半島に追放しようとしている https://www.bbc.com/news/world-middle-east-68317541


 イスラエル人がビーチに家をもつことも夢ではないなどのスローガンが昨年12月末の右派勢力の集会では唱えられた。この「ビーチ」とはガザのビーチのことだ。トランプ前大統領の義理の息子のジャーレド・クシュナーもこのアイデアに飛びつき、「大変貴重な水辺の不動産」などと発言するようになった。

 昨年11月14日、極右のスモトリッチ財務相はガザ住民の「自発的な移住」について語った。12月には、ネタニヤフ首相自身がリクード党員に対し、イスラエルの本当の課題はガザの人々を受け入れてくれる国を見つけることだと語った。

イスラエル紙ハアレツの発行者アモス・ショッケンは、パレスチナ人を「自由の戦士」と呼び、第二のナクバ(大災厄)をパレスチナ人に対して行っているイスラエルに制裁を科すべきだと訴えた。 https://x.com/ecomarxi


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