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欧米諸国がイスラエル・ユダヤ人の移民を受け入れればパレスチナ問題は解決する?

 トランプ大統領は、ガザからパレスチナ人を追放してガザをリゾート化する計画を発表したが、パレスチナ問題の原因や背景をつくった欧米諸国がイスラエルのユダヤ人を移民として受け入れればパレスチナ問題は一気に解決する。ユダヤ人を差別、排斥し、最後にはナチス・ドイツのホロコーストで帰結したユダヤ人迫害・虐待を行った欧米諸国にはユダヤ人を移民として受け入れる道義的責任もあるだろう。パレスチナ人が土地を奪われることによって、欧米諸国がユダヤ人への贖罪(=イスラエル建国)を行ったことについてパレスチナ人たちには欧米に対する反発や憎悪がずっとあり続けている。

ユダヤ人がウィーン大学に入ることを手をつないで阻止するナチスのSA(突撃隊) https://www.britannica.com/event/Holocaust


 イスラエルでは戦争ばかりしている国の体質や極右が台頭する政治に嫌気がさして移住したいと考える国民が、イスラエル紙『マアリブ』が昨年10月に発表した世論調査によれば35%(250万人近く。イスラエルのユダヤ人人口は700万人くらい。)もいる。

 過日も紹介した通り2023年10月に始まったガザ戦争によってイスラエル人口の約 7% 、つまり50万人余りがイスラエル国外に出たきり戻ってこない。彼らには帰国する様子がないが、またイスラエル国民の約10%は二重国籍者であり、いざとなれば容易に国外に移住できる。イスラエルをとりまく安全保障環境が改善、解決されない限り、イスラエルへの移住を考えるユダヤ人は減り続けるだろう。

1920 年代、手押し車が並ぶオーチャード・ストリートはユダヤ人のロウワー・イースト・サイドの中心だった。 https://www.nytimes.com/2018/04/04/nyregion/nyregionspecial/jews-latinos-and-the-making-of-modern-new-york.html


 トランプ大統領は米国への移民措置について南アフリカの白人だけを例外的に受け入れているが、ここにも人種主義的なトランプ氏の傾向を見てとれる。南アフリカの白人はかつてアパルトヘイトの主体として国際社会から激しい非難を浴びた人たちだ。トランプ大統領の視野の中にはイスラエルのユダヤ人の移住受け入れはないようで、ガザをイスラエルに引き渡そうとしている。

 イスラエルのユダヤ人人口700万人のうち100万人が常時海外で暮らしているが、その半分の50万人はイスラエルに帰国する意図がないことが判明している。他方、米国には600万人のユダヤ人が暮らしているが、彼らは勤勉で、教育熱心で米国社会への統合を果たし、経済・産業分野でも成功した人は少なくない。リバイス、ラルフ・ローレン、カルヴァン・クラインといったアパレルメーカー、さらにデル、グーグル、フェイスブック、さらにインテル、クアルコムなどコンピューター関連の企業もユダヤ人が創設したものだ。経済分野でユダヤ人が活躍すれば、トランプ大統領の「米国を再び偉大にする」というスローガンにもかなうし、米国のユダヤ系社会もイスラエル人の移民を歓迎するだろう。

ナタリー・ポートマンもイスラエルを離れたユダヤ人の一人だ https://www.brandedgirls.com/most-beautiful-jewish-actresses/#google_vignette


 ナチス・ドイツが支配していたドイツやオーストリアから34万人余りのユダヤ人が難民として流出したが、ドイツには少なくともこれと同数ぐらいのユダヤ人移民を受け入れる道義的責任がある。現在のドイツの人口は8300万人ぐらいで、全人口の0.2%にあたる17万5000人のユダヤ人が暮らしている。現在ドイツには550万人のムスリムたちが暮らしているが、ムスリムと同数ぐらいのユダヤ人移民を受け入れれば、イスラエルのユダヤ人人口のほぼ総数に匹敵し、パレスチナ問題はいっきに解決することになる。メルケル元首相はドイツ人口の減少を見込んで2015年に多数のシリア難民を受け入れた。ドイツ人人口は今世紀末までに7300万人に減ることが見込まれているが、年金制度やドイツ経済の発展の維持のためには難民・移民の受け入れが必要とメルケル首相は考えた。

ユダヤ人実業家のオスカー・ダンクナーとキリスト教徒の女性アデーレ・エデルマンは、親密な関係を持っていたとして公の場で辱めを受けている。張り紙には「ユダヤ人として、私はいつもドイツ人の女の子だけを自分の部屋に招待します!」と書かれていた。そして、「私は町で一番大きな雌豚で、ユダヤ人としか付き合いがありません。」とエデルマンの張り紙にはあった。ドイツ、クックスハーフェン、1933 年 7 月 27 日。 https://ecampusontario.pressbooks.pub/hearourvoices/chapter/2-2-sexuality/


 1940年にフランス本土に住んでいたユダヤ人は34万人で、約半分はフランス国民で、半分はナチス・ドイツからの難民だった。75,000人以上のユダヤ人(ほとんどが外国のユダヤ人)が絶滅収容所に送られ、約72,500人が殺害された。フランス政府は、ナチス・ドイツの傀儡であったヴィシー政権時代のユダヤ人迫害について認めたがらないが、フランスにもイスラエルのユダヤ人移民を受け入れる道義的責任があるだろう。

 イギリスは、現在のパレスチナ問題に最も責任をもつ国で、イギリスが1917年にユダヤ人の民族郷土を約束したバルフォア宣言によって現在のパレスチナ問題が発生した。イギリスには多数のユダヤ人移民を受け入れる責任がある。イギリスのユダヤ人人口は30万人近く、全人口の0.5%ぐらいだ。イスラエルのユダヤ人人口の3分の1はイスラエルから出国と、特に欧米諸国への移民を望んでいるが、イスラエル経済にとって不可欠な頭脳が流出すれば、イスラエルの国家や社会は機能しなくなるだろう。経済が停滞し、また戦争ばかり続け、司法改革で民主主義も危うくなったイスラエルに留まりたいというユダヤ人は減る一方だ。

イギリス 反シオニスト・ユダヤ人国際ネットワーク ガザ停戦を求める https://www.aa.com.tr/en/europe/pro-palestinian-demonstrators-in-uk-intensify-calls-for-immediate-gaza-cease-fire/3102157


 トランプ大統領の「リビエラ構想」を実現するには武力に訴えなければならないが、戦争に辟易とするイスラエルのユダヤ人は増える一方だろう。欧米諸国がイスラエルのユダヤ人移民を受け入れれば、トランプのガザ・リゾート化構想より素晴らしいパレスチナ国家ができ上がり、平和なパレスチナの海岸は多くの観光客を世界から呼ぶに違いない。

表紙の画像はイスラエル・ベングリオン空港で
https://thisisbeirut.com.lb/articles/1284880/israel-reopens-ben-gurion-airport-but-disruptions-remain


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