2023年のノウルーズ(新年) ――ノウルーズ、おめでとう
ノウルーズ、おめでとう!
ノウルーズは、イラン(ペルシア)がイスラム化する以前から行われていた行事で、ゾロアスター教の暦に基づき、3000年の伝統をもつとも言われている。
おおよそノウルーズは日本の春分の日に相当する。国連総会は、2010年2月にペルシア文化に影響を受けた人々が祝う「3月21日」を「ノウルーズ国際デー」として認めた。イランではイスラム誕生以前に起源をもつ唯一の国家祭日で、中央アジアの5カ国も国家の祝日としている。トルコでは、ノウルーズを祝うクルド人との融和のために、国民の休日となっていて、トルコ系の民族であるウイグルの人々もノウルーズを祝う。2016年にノウルーズはユネスコの無形文化遺産に登録されている。
ノウルーズではハフト・スィーン(スィーン[アラビア語でSの音を表す文字]で始まる七つのもの)、すなわちリンゴ、ニンニク、酢、コイン、ウルシの実、青草、とサマヌー(甘いプディング)が飾られる。青草の大麦の種は、ノウルーズの15日前に蒔かれるとされ、その新芽は新年を象徴するものと考えられている。
さらに、ノウルーズを迎えるにあたって、過去にあった不和は帳消しにすべきと考えられている。つまり、新年は気分が一新され、他者に対して寛容になれる機会ともなるのだ。また、新年の13日目は「スィーズデ・ベダル」と呼ばれ、この日をもってノウルーズは終了するが、この日は、人々は家から離れ、郊外などにピクニックに出かけることが多い。ノウルーズを迎える前の最後の火曜日の夜は「チャハール・シャンベ・スーリー」と言って灌木を燃やして、次のような詩を唱えながらその上を飛び越える行事が行われ、皆で健康を祈願する。
私の黄色(悲しみや病気)はお前に、お前の赤色(健康や美、新鮮さなど)は私に
悲しみよ去れ、喜びよ来い、不幸よ去れ、運よ来い
さぁ火曜の夜よ、我が願いを叶え給え
ノウルーズを前にすると、街のいたるところに、新年の縁起物である金魚や、大麦を発芽させた小さな鉢を目にする。大麦の種は、ノウルーズの15日前に蒔かれるとされ、その新芽は新年を象徴するものと考えられている。イランでは新年の前に、多くの家庭で大掃除を行う。日常生活に不可欠な絨毯は日干しにしたり、埃を叩いて出したり、あるいは水洗いにしたりする。歴史都市イスファハーンでは、人々が市の中心を流れるザーヤンデ川の岸で絨毯をせっせと洗う光景を見かけたことがある。
オマル・ハイヤームが創作されたと伝えられる『ノウルーズ(新年)の書』には次のようにかかれている。
至高なる神は〔自らの〕光から太陽を創り、太陽によって諸々の天と諸々の大地を〔明るく照らし、植物を〕育んだ。大地に住む者たちは、至高なる神の光の1つである太陽に目を向け、畏敬と尊崇をもって太陽を見つめる。なぜなら、至高なる神は、太陽の創造において他に比類なき恩恵を施しているからである。
(伝ウマル・ハイヤーム著『ノウルーズ(新年)の書』訳注・校訂:守川知子・稲葉穣)
http://www.kita.zinbun.kyoto-u.ac.jp/wp-content/uploads/2011/10/nawruz.pdf