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ウクライナ ―国民的詩人が寄せる平和への希求

わたしが死んだら
葬ってほしい
なつかしいウクライナの
ひろびろとしたステップに抱かれた
高い塚の上に
はてしない野のつらなり
ドニエプルも
切り立つ崖も
見わたせるように
哮(たけ)り立つとどろきが
聞こえるように
ドニエプルの流れが
ウクライナから 敵の血を
青い海へと 流し去ったら
そのときこそ 野も山も…… 訳/藤井悦子

タラス・シェフチェンコ 自画像


 これはウクライナの国民的詩人タラス・シェフチェンコ(1814~1861年)の詩「遺言」の一部だ。シェフチェンコは、帝政ロシアの専制政治に抵抗した人で、農奴の家庭出身だったが、農奴の解放を訴える詩作を残した。代表作に農民一揆を描いた叙事詩「ガイダマキ」がある。また、ウクライナ解放をめざす秘密結社「キリル・メトディウス」に参加してロシア皇帝ニコライ1世を批判する詩を書いて10年間流刑の身ともなっている。この「遺言」はロシアの専制政治を打倒した後のウクライナ民族の平和を願っているようだ。タラス・シェフチェンコは画家としても優れ、貧困にあえぎ、自由の身になりたい農奴の姿を描いた。「遺言」はウクライナ・サッカーのスーパースター、アンドレイ・シェフチェンコ氏も暗誦しているほどウクライナ人の間では親しまれている。(「ナンバー・ウェブ」の記事より)
 ウクライナの野山にも花が咲き乱れ、人々の心を潤す平和な日々が早くやってきてほしいものだ。ウクライナでは国花である「ひまわり」の他に、バラはやはり人気があるようだ。

 また、この国でもクリミア半島あたりではアーモンドが咲き誇る。アーモンドの栽培が可能性のある商品作物と考えられるようになっていた。気候変動の影響もあってウクライナでも降雨量が減り、栽培に穀物ほど多くの水を必要としないナッツ類は有望視されていた。
https://www.tridge.com/.../farmers-of-the-south-were-told...

クリミア半島のアーモンドの花


「アーモンドは、唐桃(からもも)、巴旦杏(はたんきょう)、扁桃(へんとう)ともいわれ、わが国ではすでに江戸時代に、ペルシア(イラン)の特産品として知られていた。大阪の医師・寺島良安が編んだ百科全書『和漢三才図会』(1712年刊)には、『波斯(はるしゃ):ペルシア』の項にその国の『土産』のひとつとして、『巴旦杏(アメントウス)』が挙げられている。」(山中由里子「イランの正月」より)

 < 頬 > 
生まれて何もしらぬ 吾子(あこ)の頬に
母よ 絶望の涙を落とすな
その頬は赤く小さく
今はただ一つの巴旦杏(はたんきょう)にすぎなくても
いつ 人類のために戦ひに
燃えて輝かないといふことがあらう
生まれて何も知らぬ 吾子の頬に
母よ 悲しみの涙を落とすな  ―竹内てるよ

 巴旦杏はアーモンドについて用いられるが、この竹内てるよの詩ではスモモのことだ。母親は子供に弱い心を見せてはならないと言っているようだが、戦火の中で子を守る母はいっそう強靱な心をもつようになっているに違いない。それは戦場に子どもを送るロシアの母親たちも同様なのかもしれない。合理性の乏しいウクライナの戦争、早く停戦、和平に至ってほしいものだ。


ウクライナ国立バレエ

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