![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/134763954/rectangle_large_type_2_66d73f2a46ce0b38c32f21831d433836.jpeg?width=1200)
イスラエルはなぜUNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)を嫌うのか?
イスラエルは昨年10月7日のハマスの奇襲攻撃に12人のUNRWAの職員が関与したと主張し、この主張に基づいて日本など18カ国がUNRWAへの資金拠出を停止している。イスラエルはUNRWAに関する自らの主張に証拠を開示することもなく、昨年10月7日以降、154人のUNRWA職員が殺害された。
![](https://assets.st-note.com/img/1711111400583-MYnfQlas87.jpg)
イスラエルはすでに長いことUNRWAへの国際的信用を失墜するさせるために、UNRWA職員の一部がハマスのメンバーだと主張し、UNRWAの解体を画策してきた。
イスラエルがUNRWAの解体を考えるのは、UNRWAがパレスチナ難民の救済を主要目的とする以上、「パレスチナ難民」が存在し、彼らが現在のイスラエル領になっているところへの帰還を求めるだろうという懸念があるからだ。
![](https://assets.st-note.com/img/1711111447332-HWh1xxE9bZ.jpg?width=1200)
イスラエルやアメリカのイスラエル支持者たちは、UNRWAが難民問題を和平交渉の中にずっと位置づける機関と見なし、UNRWAが70年前にイスラエル建国によって発生した難民だけでなく、その2世や3世までも難民として認定していることを問題視している。UNRWAが解体されれば、パレスチナ難民がイスラエルへの帰還を意図することもなくなるとイスラエルは考えている。
1949年7月に第一次中東戦争が終わると、イスラエル国内に残ったパレスチナ人たちはわずかに16万5000人となった。イスラエルは、こうして国内にパレスチナ人をとどめたことが誤りであったと考えている。というのも、現在はイスラエル国内にいるパレスチナ・アラブ人たちは出生率が高いこともあって、イスラエルの全人口の20%となった。
![](https://assets.st-note.com/img/1711111474186-NFXX2V7Et1.jpg?width=1200)
1948年12月、国連総会は決議194Ⅲでパレスチナ難民が故郷に帰る権利(帰還権)を認め、帰還を望まない難民には、土地など彼らが失った財産に対する金銭的な補償が行われるべきであると採択した。イスラエルは、国連総会決議181号(1947年11月)で成立した国家であるにもかかわらず、国連総会決議で認めたパレスチナ難民の帰還をいっこうに認めようとしない。
イスラエルがパレスチナ難民の受け入れを拒否する理由は、シオニズムの発想からイスラエルをユダヤ人だけの国家にしたいという発想が背景にあり、またイスラエル建国当初は難民として流出していったパレスチナ人が残した畑、果樹園、家屋、店舗、工場などは世界各地のユダヤ人の受け入れを経済的に可能にする重要な手段であったということもある。イスラエルは、パレスチナ難民はアラブ諸国が受け入れるべきであり、イスラエルはユダヤ人難民を受け入れていると頑なに主張した。
![](https://assets.st-note.com/img/1711111547439-PoWd9pRWym.jpg)
アメリカ議会では、UNRWAへの資金拠出を1年間停止する内容を含む法案が成立しようとしている。現在、WFP(国連世界食糧計画)によれば、ガザ人口の88%が食料不足に直面しているが、バーニー・サンダース上院議員はこの法案を推進する議員たちを「飢餓議員団」と形容している。また、クリス・ヴァン・ホーレン上院議員は、UNRWAへの資金拠出停止は数千人にとって「死刑宣告」となるだろうと述べ、アメリカはただちにUNRWAへの資金拠出の再開を行うべきだと訴えているが、バイデン大統領はこの法案を承認する署名を行うことを明らかにしている。(イスラエル「ハアレツ」紙、3月21日)日本政府はこの米議会の決定やガザ住民たちへの「死刑宣告」に唯々諾々と従い、UNRWAを解体しようとするネタニヤフ首相の目論見に協力するのだろうか。
![](https://assets.st-note.com/img/1711111502738-iNqcfceFbF.jpg)