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我等の心はガザとともに ―日本の若者たち

 昨日の毎日新聞に「我らの心はガザと共に 日本で声上げる若者たち」という記事が掲載された。

https://mainichi.jp/articles/20240628/k00/00m/040/163000c

ガザに連帯する上智大学の学生たちの活動はSNSの動画や画像で知っていたが、上智大学の学生たちはパレスチナ人の父と日本人の母をもつ上智大学2年生のカセム・ジュマーナさん(19歳)の訴えに理解や共感を示しているようだ。上智大学の学生たちのキャンパスでの訴えは下のYouTubeでうかがい知ることができる。

https://www.youtube.com/watch?v=zro4556Y0-k 

毎日新聞の記事より https://mainichi.jp/articles/20240628/k00/00m/040/163000c

 カセムさんの祖父の家族は1948年のイスラエル建国に伴うナクバ(大災厄)で難民となり、クウェート、そしてヨルダンに逃れた。カセムさんがデモを呼びかけると、70人ほどの学生たちが集まった。↑のYouTubeを観ると、ロシアのウクライナ侵攻とガザへの対応にダブルスタンダードがあることを感じるなど、学生たちの主張は合理的なものだと思う。抗議の輪の中には女子学生や外国人学生たちの姿が多く見られ、また英語でも訴えるところが、70年安保の頃とは違うところだろう。日本の若い人達の間でもパレスチナ問題への理解が進むことを願うが、一人の学生が強調していたように、イエズス会や上智大学が強調する「正義の促進」とはまったく真逆なことがパレスチナではずっと起こってきた。

上智大学学長のメッセージ イスラエルを名指ししていないことに学生は不満に思っているのだと思う

 イスラエルは国連決議に基づいて成立した国だが、国連安保理決議、総会決議に違反し続けている国で、占領地からの撤退を求めた国連安保理決議242号、338号にもいっこうに従おうとしていない。イスラエルを支援するアメリカも、エルサレムでの外交活動を禁じた国連安保理決議478号に違反して、アメリカ大使館をテルアビブからエルサレムに移転してしまった。イスラエルは戦時における文民保護を義務付けたジュネーブ条約に違反して占領地における入植を拡大し、また昨年10月からは多数の文民の命を奪うようになり、人道物資の搬入にも制限を加え飢餓をもたらし、さらに病院や学校も破壊した。

 アメリカのシオニストたちからの献金を受けるドナルド・トランプが大統領になれば、パレスチナのめぐる不合理はいっそう深刻になることが予想され、トランプはヨルダン川西岸の併合までイスラエルに認めることが指摘されるようになった。イスラエルがシリアから占領するゴラン高原の主権をイスラエルに認めてしまったトランプのことだから実際に西岸併合を認めかねない。

 上智大学のカセムさんが望むのはパレスチナの解放だが、イスラエルの法律に縛られないパレスチナ人の国家が成立することは国際法に拠れば当然のことだ。パレスチナ分割の背景や根拠となったイギリスのバルフォア宣言はまったく不当なものだが、国連分割決議の正当性にも異を唱える国際法研究者たちが以前は少なからずいた。カセムさんの祖父の家族はパレスチナでオリーブ畑を営んでいたそうだが、パレスチナ人たちが平和にオリーブを栽培する権利をもっていることは言うまでもない。ところが、イスラエルの極右入植者たちのパレスチナ人のオリーブ栽培に対する暴力や嫌がらせはますます露骨になっている。

 オリーブの木は世界平和のシンボルで、中東イスラム諸国では、美しいオリーブの木が生育してきた。グレコ・ローマン時代からオリーブは、神話の中でも語られるほど伝統のある農産物だ。オリーブはパレスチナ人の農民たちにとって重要な経済手段であり、オリーブ油、オリーブ石鹸、あるいは木材などの原材料となる。パレスチナではオリーブは輸出品目のうち2番目で、果実全体の収入の半分近くを占めてきた。


― 平和であるためにつくられ、一度も平和を見ていない土地に平和を ―マフムード・ダルウィーシュ〔パレスチナの民族詩人〕)


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