大谷翔平選手と、世界の普遍的表現「あるがままに生きる」
「人は運命の矢から逃れることはできない。だから起こった出来事をあるがまま甘受することが唯一の盾になる。」サーディー(イランの詩人)。
ドジャースの大谷翔平選手は、3月25日の会見で、「僕自身も信頼していた方の過ちというのを、悲しくというかショックですし、今はそういうふうに感じています」と語った。大リーグに移籍してからずっと元通訳とは行動が一緒と見られるほど、誰からもその信頼ぶりがわかるほどだったから精神的な衝撃の大きさは容易に想像できる。事件が明るみになってからも大谷選手は活躍してきたのだから(今日も4号ホームランを含む3安打)、周囲の雑音に悩まされることなく、野球で最善のパフォーマンスができるように、サーディーの言葉にあるように、あるがままに頑張ってほしい。
イスラム神秘主義詩人のルーミーには「ゲストハウス」というやはりあるがままに受け入れなさいという寛容を勧める詩がある。
「ゲストハウス」
人間という存在は、みなゲストハウス
毎朝、新しい客がやって来る
喜び、憂鬱、卑しさ、そして一瞬の気づきも
思いがけない訪問者としてやって来る
訪れるものすべてを歓迎し、もてなしなさい
たとえ、それが悲しみの一団だとしても
できるかぎり立派なもてなしをしなさい
たとえ、それが家具のない家を荒々しく駆け抜けたとしても
どんなものがやって来ても、感謝しなさい
どれも、はるか彼方から案内人として
あなたの人生へと、送られてきたのだから
「犬が吠えても隊商は進む」ということわざがある。英語では”The dogs bark, but the caravan goes on.”といい、「言いたい人間には言わせておけ、人の言うことをいちいち気にかけるな」ということになる。「ティファニーで朝食を」の原作者であるトルーマン・カポーティが自分の作品に対する批判的な記事に悩んでいると、フランスの文豪アンドレ・ジッドがこのことわざを教えたという。
オマル・ハイヤーム「ルバイヤート」には下のように隊商を題材にした詩句がある。
あわれ、人の世のキャラバン過ぎて行くよ
このひとときをわがものとして楽しもうよ
あしたのことなんか何を心配するのか! 酒姫よ!
さあ、早く酒杯を持て、今宵も過ぎて行くよ!
(オマル・ハイヤーム「ルバイヤート」から)
ヘッセは1922年に東洋への関心を動機として『シッダールタ』を著したが、自らの生きる悩みを乗り越えようとした彼の心情が表れていた。この作品では一切をあるがままに愛するという悟りの境地に達する求道者の姿が描かれる。
ポール・マッカートニーのところに亡くなった母親が現れ、「心配しなくて、あるがままにとLet it Be」と語ったことがビートルズ最後のシングル「Let it Be」が生まれる背景となった。
When I find myself in times of trouble
Mother Mary comes to me
Speaking words of wisdom
Let it be
僕が苦境に立たされている時
神聖なる母が現れ
格言を伝えてくれる
「あるがままになさい」と
And in my hour of darkness
She is standing right in front of me
Speaking words of wisdom
Let it be
そして僕が暗闇の中にいる時
母が目の前に立ち
格言を伝えてくれる
「あるがままになさい」と
Let it be, let it be, let it be, let it be
Whisper words of wisdom
Let it be
あるがままに、あるがままに、あるがままに
格言を囁いてくれる
「あるがままになさい」
And when the broken-hearted people
Living in the world agree
There will be an answer
Let it be
心が傷だらけの
世界中の人たちが心を一つにすれば
答えは見つかるだろう
あるがままに
「Let it Be」の訳はhttps://www.b-cafe.net/eikaiwa-school-tips/let-it-be-japanese-translation-of-the-lyrics より
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