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トランプの当選を大喜びするネタニヤフと、ネタニヤフの暴走を止めたいトルコ独裁者は独裁者を評価する?
トランプ当選のニュースに満面の笑みを浮かべたのはイスラエルのネタニヤフ首相だった。トランプが大統領ならネタニヤフ政権のガザやレバノンなど周辺諸国への拡張主義的戦争に干渉せず、またイランとの戦争についてもトランプ政権なら米国がパートナーとなり得るからだ。
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米国大統領選挙の当日、ネタニヤフ首相はガラント国防相を解任した。ガラント国防相は、ガザの将来についてイスラエルが占領を継続することに懐疑的で、これがガザへのイスラエルの再入植を考えるネタニヤフ首相や、政権内部の極右閣僚であるベングビール国家治安相やスモトリッチ財務相と対立することになっていた。トランプ大統領の娘婿のジャレッド・クシュナーはガザの不動産開発を考えている。
イスラエルのリベラル系新聞「ハアレツ」のエスター・ソロモン編集長は現在のイスラエル政府の存在意義はネタニヤフ首相個人の政治的野心を支持し、それを擁護することにあると述べている。ガラントは兵役が免除されてきた超正統派についても、イスラエル国民はすべてイスラエル国防軍に所属し、国家を守らなければならないという考えてを示していた。こうした考えが兵役にとられたくない超正統派の反発を招いていたが、政権の維持を図りたいネタニヤフ首相は超正統派をなだめるために、ガラント国防相を解任して超正統派の兵役免除を考えている。ネタニヤフ首相は、最低でも現在の国会議員の任期が切れる2026年10月まで政権を維持することを考え、さらに司法改革によって彼が刑務所に収監されることがないように、再選を果たすための方策を画策していくことだろう。ネタニヤフ首相にとって、彼個人の権力維持が人質の救出やイスラエルの安全保障よりも重要な課題だ。
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ガラント国防相解任に対してイスラエルでは大規模な反ネタニヤフ・デモは発生したが、デモの参加者たちは、ネタニヤフ首相が国民の望まない戦争で新たな戦線を開くなどの批判を行っている。他方、ネタニヤフ首相の政権政党であるリクードは、トランプ大統領のことを「イスラエルの真の友人」と形容している。ネタニヤフの権力強化とトランプの政権復帰は世界の民主主義にとって重大な脅威となっている。ネタニヤフもトランプもともに裁判で起訴されている立場にある人物が強固な同盟を築こうとしている。
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トランプには強権的で、権威主義的手法を用いる政治指導者と気脈が通ずるものがある。彼が好むのはロシアのプーチン大統領、北朝鮮の金正恩総書記、トルコのエルドアン大統領、エジプトのシシ大統領などだ。特にトルコ・イスタンブールにはトランプ大統領が関与する商業ビル兼住宅の「トランプタワー」があるなどトルコとは個人的な利害関係もあり、エルドアン大統領とは親しい関係にあるが、エルドアン大統領はトランプが当選すると祝意を伝え、就任後、トルコを公式訪問することを促した。
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2019年、トランプ政権はエルドアン大統領のトルコが北シリアに軍事介入し、ISとの戦争で米国と同盟したシリアのクルド人勢力を軍事的に制圧することを許した。また、トルコがロシア製のミサイル防衛システムを購入した際も、トルコに対して軽い制裁しか科すことがなかった。トランプが当選すると、エルドアン大統領は祝意を伝えながらもイスラエルへの武器支援を打ち切るように主張している。エルドアン大統領は「トランプ氏がイスラエルへの武器支援を打ち切ることは、パレスチナとレバノンの領土におけるイスラエルの侵略を止めるための重要な一歩になり得ると私は信じている」と述べた。エルドアン大統領はバイデン政権の政策が地域の不安定と紛争の悪化をもたらしたと考えてきた。
米国がイスラエルへの武器供与を停止すれば、イスラエルの戦争継続は不可能になるが、トランプがネタニヤフとエルドアンの二人を天秤にかれれば、やはりネタニヤフのほうに聞く耳をもつに違いないという気がしている。ネタニヤフとトランプのタッグは、残念ながら中東地域の破壊や殺戮をいっそう進めるように思う。
表紙の画像は下より