トランプ次期政権は国際法を無視する無法者閣僚たちの寄せ集め
トランプ次期大統領が続々と新内閣の閣僚たちを指名するようになっている。司法長官には、17歳の少女に対する性的人身売買容疑で司法省の捜査対象になったことがあるマット・ゲーツを指名するなど常識では考えられない人事を行っている。トランプ自身も2023年、20年大統領選の結果を覆そうとした事件と退任時に機密文書を自宅に持ち出した事件で司法省から起訴されているが、またゲーツには薬物乱用の疑惑もあり、トランプ次期政権は無法者閣僚の集団といったところか。
イスラエルのネタニヤフ首相も収賄罪で起訴されており、イスラエルと米国は起訴された者たちが国のトップということになる。トランプは米大使館をエルサレムに移転し、シリアのゴラン高原にイスラエルの主権を認め、他方ネタニヤフは占領を継続し、占領地で入植地を拡大し、ガザでジェノサイドを行うなど、国際法など度外視する指導者たちで、イスラエルと米国はまさに無法者同盟になる。
トランプ次期政権の外交は強硬なものになりそうだ。昨日紹介したマイク・ハッカビーもそうだが、次期政権の閣僚の顔ぶれを見ると、その外交政策、特に中東政策がどういうものになるかが自ずと見えてくる。
国務長官に指名されたマルコ・ルビオ上院議員は反中強硬派として知られ、中東ではイスラエルのハマスやヒズボラに対する攻撃を支持してきた。
国防長官に指名されたピート・ヘグゼスは、プリンストン大学を卒業し、アフガニスタン、イラク、グアンタナモ湾で軍務に就いた。また、グアンタナモでのイスラム教徒の被拘禁者への過酷な扱いを擁護し、刑務所の閉鎖に反対を主張してきた。
「もし我々がイスラム過激派、イスラム主義と戦争をしているのなら、彼らを収容し尋問するのにグアンタナモ湾ほど良い場所はないし、我々はその事実を恐れるべきではないし、それを見てきた人たちはそれを理解している」とヘグゼスは2016年に語った。ヘグゼスは、戦争犯罪を犯したとされる米兵を擁護する姿勢を一貫として示し、一期目のトランプ大統領にそうした人々を赦免するよう求めていた。彼の要求は成功を収め、トランプ大統領は、部下にアフガニスタン人3人への発砲を命じ、その結果2人を殺害した罪で有罪判決を受けた元陸軍中尉に恩赦を与えた。
国家情報長官に指名されたトゥルシー・ギャバードは、元民主党下院議員で、軍の退役軍人だった。今年初めにバーニー・サンダース上院議員の支持からトランプ大統領の支持に転じたという変わり種だ。ギャバードはイラクとクウェートで2度米軍に従軍した。彼女は2017年にシリアを訪れ、米国の制裁下にあるバッシャール・アル・アサド大統領と会談した。「アサド大統領についてどう考えようと、事実は彼がシリアの大統領だ」と彼女は訪問後のCNNのインタビューで語った。「いかなる和平協定も、実行可能な和平協定の可能性も生み出すためには、彼との対話が必要だ」と理性的な発言も行っていたが、「イスラム過激思想」がテロを助長しているとずっと主張してきた。
ギャバードは、反戦、介入政策への反対の見解を掲げているにもかかわらず、女性と子どもが大多数を占める4万人以上のパレスチナ人を殺害したイスラエルのガザ戦争を支持してきた。
彼女は、紛争や戦争を助長する外国政府への米国の軍事支援の停止を支持しているものの、その呼びかけはイスラエルを対象とせず、 ガザ停戦にも反対している 。ギャバードは、米国内で発生したパレスチナ支持の抗議運動を非難し、親パレスチナの抗議活動家を「イスラム過激派」の傀儡だと非難した。
また、トランプ大統領は国連大使に ニューヨーク州選出の女性下院議員、イリース・ステファニックを選んだ。ステファニクは外交政策の経験は少ないが、熱烈な親イスラエル強硬派だ。2023年12月、彼女は米国の大学キャンパスで親パレスチナ派の抗議活動を鎮圧するために十分な対策を講じていないとして大学学長らを激しく追及し、政治的な知名度を高めた。ステファニックは、公聴会で「川から海まで」や「インティファーダを世界規模に」といった親パレスチナのスローガンは大量虐殺を呼びかけるに等しいと繰り返し主張した。イスラエルのガザ戦争が始まって以来、ステファニクは国連を攻撃し、イスラエルのガザ爆撃を批判した国連を反ユダヤ主義だと非難してきた。ステファニクは10月、国連に対する米国の資金援助の「全面的な再評価」を求め、パレスチナ難民を支援する国連機関(UNRWA)に対する米国の支援を阻止するよう求めてきた。
表紙の画像は下より
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