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イスラエルを平和記念式典に招く広島市の「ダブルスタンダード」

 広島市が8月6日に開かれる平和記念式典にイスラエルを招待するのだという。

 松井一実市長は、昨年ロシアを招待しない理由として、「ロシアによるウクライナ侵攻を挙げ、「日本の姿勢に誤解を生じさせ、式典の円滑な挙行に影響を及ぼすことがないようにする」と説明していた。(中国新聞、2023年6月9日)

 記者会見である記者が松井市長に「ダブルスタンダードではないか」と問うと、市長は「ダブルスタンダードではない。勝手に想像しないでください。」と声を荒げたという。しかし、ごく客観的に見て、想像ではなく、「ダブルスタンダード」そのものだ。松井市長の論理をイスラエルに対して使えば、イスラエルを招待することはイスラエルのガザ攻撃を広島市が支持しているという誤解を生じさせる恐れがあるということになる。

@sayoccopu 【緊急拡散希望】 今この時もラファを侵攻し続ける イスラエルの平和記念式典参列など あってはならない。 広島市がなんと言おうと 日本中の市民が断じて許さないと 数で示したいです。 ✍️署名、拡散お願いします!5/14〆 https://chng.it/mbTsw82mKQ #handsoffrafah #saverafah #stopgenocideingaza https://x.com/sayoccopu/status/1787446560286281917


 他方、長崎市の鈴木史朗市長は6月3日の記者会見で、イスラエルには招待状を送らないことを明らかにした。鈴木市長は「ガザ地区における危機的な人道状況やそれに対する国際世論の状況を踏まえれば、式典において不測の事態が発生するリスクが懸念される。大切なのは原爆の犠牲者を慰霊することであり、式典の運営が阻害されてはならず苦渋の決断だ」と語った。こちらのほうがよほど筋が通っている。

長崎の鈴木市長の言う通りだと思います https://news.ntv.co.jp/category/society/783c32d685ba42aea7ae3cd5862d0e25


 広島市の松井市長の判断の背景には米国重視の発想の強い、広島市選出の岸田首相の意向が反映されているのだろう。ロシアを招待しないのも米国に配慮したものであるに違いない。東京新聞の5月11日付の記事で平岡敬・元広島市長は「イスラエルと結びつきの深い米国に配慮する日本政府の方針が働いているのだろう」と述べているが、まさにその通りだ。

 広島や長崎からの平和への発信は普遍的なもので、政治的事情にとらわれるべきではない。戦争を行い、かつ核保有国であるしているロシアやイスラエルも招待し、核兵器のない平和な世界について広島や長崎の市民たちと意見を交換したろうどうだろう。戦争をしている国を排除するのは平和記念式典の主旨とは異なるように思う。

@sayoccopu 【緊急拡散希望】 今この時もラファを侵攻し続ける イスラエルの平和記念式典参列など あってはならない。 広島市がなんと言おうと 日本中の市民が断じて許さないと 数で示したいです。 ✍️署名、拡散お願いします!5/14〆 https://chng.it/mbTsw82mKQ #handsoffrafah #saverafah #stopgenocideingaza https://x.com/sayoccopu/status/1787446560286281917


 繰り返し書いてきたがアラブやイスラム世界では広島や長崎に原爆を投下された日本に対する強い同情があるが、広島市はイスラエルに招待状を送り、パレスチナには送っていない、こちらのダブルスタンダードも深刻だ。パレスチナに招待状を送らないのも米国に対する配慮なのだろうか。こちらもパレスチナ国家を承認しない日本政府と歩調を合わせているように見える。長崎市はパレスチナ暫定自治政府の駐日代表部に招待状を送ってきた。パレスチナは米国によるダブルスタンダードにずっと苦しんできて、こうした理不尽には敏感な人々だ。

 米国はイスラエルの占領はまったく問題にしない一方で、イラクがクウェートに侵攻すると、多国籍軍を組織し、軍事的にイラク軍をクウェートから排除し、またイラクを空爆して多数のイラク市民が亡くなった。イスラエルの占領によって土地や家屋を奪われるパレスチナ人は後を絶たない。また米国はロシアのウクライナ侵攻を非難し、ウクライナに武器を与える一方で、ガザを侵攻するイスラエルに武器を供与し続けている。米国製の武器などで、パレスチナではすでに1万5000人以上の子どもたちが亡くなった。
 下は2013年に広島市を訪問したパレスチナの人権活動家マーズィン・クムスィーヤ氏が見た日本だが、広島市のダブルスタンダードはこうしたパレスチナ人の日本への信頼や敬意を裏切るものである。

2013年8月6日、広島平和記念式典でのクムスィーヤ氏 https://agitatejournal.org/palestinian-in-hiroshima-by-mazin-qumsiyeh/

「私はパレスチナ人訪問者として、とりわけ日本の諸都市が、規律正しく整然としていることに感銘を受けました。すべてが完全に機能しているように思えます。鉄道の発着時間は分単位で正確であり、数百万人の乗客を、市内及び各市を結ぶ広域ネットワークで運んでいます。また、日本の通りは、きれいに保たれており、(もちろん)私たちの自由な移動を妨げる(イスラエルにあるような)分離壁やチェックポイントに出くわすことはありませんでした。
 人々は整然と通りを渡り、ゴミは自分で携帯したゴミ袋に入れて持ち帰っています。行列を飛び越えるものはおらず、家々や道行く車はきれいに掃除が行き届いています。そして、ほぼすべての人々が、(周りに迷惑にならないように)低い声で語り合い、お互いに礼儀正しく接しています…このように私の目に映った日本の社会は、穏やかで平和に満ちていました。」
https://agitatejournal.org/palestinian-in-hiroshima-by-mazin-qumsiyeh/

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