ネタニヤフは「Fu*king Liar」と語るバイデン大統領と国際社会の無力を批判するローマ教皇、そして日本とイスラエルの防衛協力
米国のバイデン大統領がネタニヤフ首相のことを「‘ f**king liar’」(クソ噓つき)と語っていたことがボブ・ウッドワードの近刊本でわかった。さらに、ウッドワードの本では“He’s a bad fucking guy!”とも語ったことが明かされている。このバイデン大統領の発言は、イスラエル軍がラファに侵攻した後のもので、米国は民間人の犠牲が出るラファ侵攻に反対していた。バイデン大統領は2月にもネタニヤフ首相のことを「ゲス野郎(asshole)」と呼んだとNBCが伝えた。そんなにヘドが出るほど嫌いで(表現から判断すれば)、信用できない首相には武器供与などの支援をやめればよいのにと思ってしまうが、それができないのが米国とイスラエルの「特殊関係」だろう。このまったく肯定できない関係がイスラエルに国際法違反の行為を平然とさせることになっている。
ネタニヤフ首相は日本政府にも嘘をついたことがある。2014年5月12日、安倍首相(当時)と会談したネタニヤフ首相は中東和平について「二国家解決に向けた協力、入植活動の凍結、パレスチナ囚人の解放等に努力してきた」ことを説明した(外務省のページより)。その後、ネタニヤフ首相は、パレスチナ国家を認める用意がないこと、また入植地拡大を継続し、数千人とも見られるパレスチナ人政治犯を拘束し、その逮捕や拘束は実に恣意的なものだ。彼の日本での発言がいかに誠意のないのものであったかがわかる。
このネタニヤフ首相の来日では、イスラエルとの防衛協力が成立し、また人的交流が活発に行われることで一致を見た。中東戦争を戦ってきたイスラエルは紛争当事国になる可能性があるとして旧・武器輸出三原則では禁輸対象国だったが、2014年のネタニヤフ首相の来日の際に「包括的パートナーシップ」を結び、イスラエルに対する装備や技術移転が可能になった。このイスラエルとの包括的パートナーシップによって、現在のガザ攻撃に日本の防衛装備品や技術が用いられていることは否定できないだろう。日本は国際司法裁判所や国際刑事裁判所などの判断を受けてイスラエルとの包括的パートナーシップの見直しや停止を本来ならば行わなければならない。
F35の技術開発については日本も参加し、その技術がレバノンやガザなどを空爆し、多数の死者をもたらしてきたイスラエルにも移転されていることは確実だ。F35の部品の40%以上は日本が製造しているとも見られている。利益になれば何でもよいというのでは日本の倫理観が国際社会から問われることになる。
ローマ教皇フランシスコは、ハマスの奇襲攻撃があってから1年の10月7日に中東での戦争を終わらせることができていない国際社会の「恥ずべき無力さ」を批判し、「長きにわたり戦いに巻き込まれ、苦境に立たされている(パレスチナ自治区)ガザの人々と私は共にいる。毎日あなた方のことを思い、祈っている。家を追われ、学校や仕事を放棄させられ、爆撃から逃れる場所を見つけざるを得ないあなた方と共にいる」とガザの人々を気づかった。「恥ずべき無力さ」は日本に対しても向けられている言葉であることは疑いがない。日本政府、国会議員たち、外務省などは選挙が終われば(あるいは選挙中でも)本腰を入れて中東和平に向き合い、ネタニヤフ首相の嘘に従って成立したイスラエルとの防衛協力の見直しなど真摯に行ってほしいとつくづく思う。ガザで4万2000人もの人を殺害したイスラエルとの防衛協力は、ローマ教皇の言葉を借りれば「恥ずべき」軍事協力であり、経済的利益の追求だ。