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ガザからの医療避難(ME:medical evacuation:メディカル・エバキュエーション)の受け入れを! ME,UNRWAへの継続支援、パレスチナ支援NGOの強化を訴える国会議員たち
1993年のパレスチナ和平合意の仲介を行ったノルウェーでは、ガザ地区の傷病者の受け入れを開始したが、日本の国会議員たちも政府に受け入れを求める署名活動を開始した。イスラエルはガザの傷病者たちのパレスチナからの移動を容易に許可しないが、日本政府もノルウェーのように、迅速に実現してもらいたいものだ。
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三重県の一般社団法人「三重県病院協会」が昨年4月から9月にかけてクラウドファンディングでウクライナ傷病者とそのご家族を三重県松阪市に受け入れ、傷病者3人に対し義手によるリハビリ訓練を行ったことがある。ガザの傷病者の受け入れは国だけでなく、地方自治体やNGOなども可能な分野だ。ガザは今年10月にOCHA(国際連合人道問題調整事務所)の関係者がガザ地区は現代史上最も多くの子どもたちが手足を切断したところだと述べ、「毎日10人の子どもが片足、あるいは両足を失っている」と語った。義手・義足でも世界の先端の技術をもつ日本には手足を失ったガザの子どもたちに対してできることが多々あるだろう。
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ノルウェーがガザの傷病者の受け入れを開始したのは最近のことで、12月9日、ガザの傷病者6人がエジプトからノルウェーに向かった。ノルウェーのヨナス・ガール・ストーレ首相は、「ガザの患者たちがさらなる治療のためにノルウェーに来ていることを嬉しく思います。彼らは、どんな子供も耐えるべきではないほどの経験をしてきた子供たちです。ノルウェーで彼らは私たちの専門医療サービスから良いケアを受けることでしょう」と述べた。
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イギリスは医療避難の受け入れをまだ行っていないが、50人以上の 国会議員と貴族院議員たちが、ガザ地区で負傷したパレスチナの子供たちの医療避難プログラムを実施するようキール・スターマー首相に求める書簡に署名した。労働党のキム・ジョンソン議員は「イギリスが医療を必要とするガザの子供一人に何の支援も提供していないことは道徳的に恥ずべきことだ」と語った。以前も書いたが、日本はウクライナの避難民を600人受け入れたが、ガザの人々の受け入れについては傷病者も含めてゼロだ。これはジョンソン議員の言葉を借りれば道徳的に許されないことだ。
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日本が地道にガザ支援を行えば、1993年のノルウェーのように和平調停を行えるほどの信頼を得られることにもなると思う。すでに、2019年、世論調査会社YouGovの調査ではアラブ諸国の56%の人が和平調停を期待する国として日本を挙げ、2位はEUの15%、3位はロシアの13%だった。日本はダントツの信頼をアラブ諸国から得ている。
昨日のガザに関する「人道外交議連」の第6回総会は「マスコミフルオープン」で行われたものの、メディアの姿は見えなかった。ガザでの殺戮はニュースにならないということか。昨日人道外交議連で講演を行った赤十字国際委員会の安藤恒平医師は、今年も最近までガザで医療活動を行っていた人だが、ガザの情勢は何も変わっていない、負傷して病院に運ばれる人の数も減少していないと述べていた。メディアの関心が薄いということは国民の関心も低くなってしまったということなのだろうが、メディアにはガザの悲惨な人道状況について国民の関心を高めるような伝え方をしてほしいと思っている。
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昨日出席したある議員は「アメリカには逆らえない」と独り言のように語っていたが、日本の中東政策は小泉政権以降はともかく、このウォールでずっと語ってきたように、パレスチナ政策については日本独自の立場をとり、1970年代の前半にパレスチナの民族自決権を認めたり、PLOをパレスチナの代表と認定し、1981年には米国やイスラエルが「テロリスト」としていたPLOのアラファト議長の訪日を実現し、多くの国会議員たちがアラファト議長を歓迎したりした。日本は米国の反対にもかかわらず対人地雷禁止条約やICC(国際刑事裁判所)のローマ規程にも批准したこともある。
昨日の総会に参加したワリード・シアム駐日パレスチナ常駐代表部大使のご息女ハニンさんは、日本は政治的に目立ったことをしていないと語っていたが、少なくともパレスチナ国家承認への理解や気運は高まっていると信じている。国際司法裁判所もイスラエルの占領や入植地拡大を違法と認定した現在、パレスチナ国家承認については、イスラエルを擁護して国際社会で孤立する米国の意向以外何の障害もないはずだ。
表紙の画像は①UNRWA(国連パレスチナ難⺠救済事業機関)へも⽀援の継続と強化を ②メディカル・エバキュエーションの推進を ③現地⽀援NGO への緊急⽀援の強化を宮路外務副大臣に申し入れる人道外交議連の阿部知子事務局長(左)と近藤昭一幹事長(中央)
近藤昭一議員のフェイスブックより