イスラエルが法の支配と正義へのコミットメントを堅持?
イスラエルは20日、国際刑事裁判所のカリーム・カーン主席検事がネタニヤフ首相とガラント国防相に逮捕状を請求したことについて異議申し立てを行ったことを明らかにした。
イスラエル外務省のオレン・マーモスタイン(Oren Marmorstein)報道官は20日、「イスラエルは法と正義の支配へのコミットメントを堅持しており、ハマスやイランが支援するその他のテロリスト代理勢力によるこの地域での継続的な攻撃や残虐行為から国民を守り続けるだろう。」と述べた。またマーモスタイン氏はICCによって逮捕状を出されてきたのが、アフリカなどの独裁国家の政治家たちであったことを念頭に「イスラエルのような独立性と尊重される法制度を持つ民主主義国家は、検察官からこのような偏見のある扱いを受けることはない」と述べた。
イスラエルが「法と正義」にコミットしない国であることは、7月に国際司法裁判所が(ICJ)がイスラエルの占領や、占領地における入植地拡大が国際法違反であるという判断を下したことでも明らかだ。
岸田首相は22日、ロシアや中国を念頭に「力による一方的な現状変更の試みは世界のどこであれ許されない。法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序こそが持続可能な開発を可能とし、繁栄をもたらす」と述べたが、法の支配はイスラエルに対しても向けられるべき言葉だが、岸田首相には「法の支配」をイスラエルに対して強調することは一度もなかった。岸田首相は、「法の支配」をG7との協調の下に進めたつもりだったが、岸田首相だけではなく、G7にはイスラエルと「ロシア・中国」の間に「ダブルスタンダード」があり続けている。
リバプールで行われたイギリス・労働党の年次大会のサイドイベントのパンフレットで、パレスチナ人に対するイスラエルの行動に言及して「ジェノサイド」や「アパルトヘイト」という言葉が使われることが禁じられた。パレスチナ問題の原因をつくったイギリスにもイスラエルに配慮する姿勢があり、イスラエルに厳しかったジェレミー・コービン元労働党党首は20年10月に労働党の党員資格をはく奪された。
コービン氏は党首時代、保守党のイギリス政府が、イスラエルによって占領されているヨルダン川西岸と東エルサレム、またガザを領土とするパレスチナ国家を承認するように要求していた。また、彼はトランプ政権によるエルサレムへの大使館移転が破滅的な誤りであったと形容し、移転が和平への重大な脅威であると語っていた。コービン氏の主張はきわめてまっとうなものと思われたが、コービン氏によれば劇的に誇張された主張によって労働党から事実上追放された。
イスラエルとヒズボラの攻撃の応酬が激しくなっているが、イスラエルのように戦争ばかりしている国に移住したいと思うユダヤ人は少なくなるばかりだろう。シオニズムは破綻して、戦争が果てなく続くイスラエルに残るのは極右勢力ばかりという事態にもなりかねない。
米国ホワイトハウスのジョン・カービー国家安全保障担当砲塔寒は20日、イスラエル兵がパレスチナ人を建物の屋上から投げ落とすところと見られる映像について、イスラエルが調査中であると述べたが、本物だと証明されれば、「職業軍人による忌まわしく、とんでもない行為を描写するものだ」と述べた。19日、イスラエル軍が占領下のヨルダン川西岸北部の都市カバティヤのビルの屋上に登り、遺体を一つずつ持ち上げて地面に投げ落とす様子を撮った映像がソーシャルメディアにアップされた。ある映像では、兵士が遺体の 一 つを繰り返し蹴ってビルから落とす様子が映し出されている。国際法では、敵兵の遺体は損壊しないように扱い、遺族に返還することが義務づけられている。 米国のイスラム関係団体は、屋上の映像を「不快で堕落した」ものと強く非難し、 「これはすべての米国人の良心に衝撃を与えるものであり、イスラエルの戦争犯罪を容認しているバイデン政権は具体的な行動につなげなければならない」と述べた。
表紙の画像はhttps://www.nishinippon.co.jp/item/o/1215444/ より