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イラン大統領選:イランから米国に送られる「文明間の対話」というメッセージ

 トランプ米前大統領が銃撃されたことについて、イラン人ジャーナリストで、元外交官のアミール・ムーサウィ氏は、2020年1月にトランプ前大統領がイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官と、イラク人民動員隊のムハンディス副司令官の暗殺を指示したことに対する神の報復だと述べた。「魂には魂を、目には目を」、次の神の報復はイスラエルのネタニヤフ首相に向けられるだろうとも述べた。

よろしくお願い申し上げます。

 今日は海の日だが、海はイランの言語であるペルシア語の詩の題材ともなってきた。


人助けや奉仕の心は、惜しむことなく、流れる川のように・・

情け深さと優しさは、太陽のように・・

慎み深さは、大地のように・・・

寛大な心は、海のように・・・ ルーミー https://plaza.rakuten.co.jp/vijay/17000/


一滴の水だったものは海に注ぐ。

一握の塵だったものは土にかえる。

この世に来てまた立ち去るお前の姿は

一匹の蠅――風とともに来て風とともに去る。 ―オマル・ハイヤーム『ルバイヤート』(小川亮作訳)


 「東洋経済ONLINE」にアビール・アル・サマライ ・「ハット研究所」所長の「イラン大統領選で最高指導者が見せたサプライズ:改革派大統領を登場させた最高指導者の本音」という記事がアップされた。決戦投票で、保守派のハメネイ最高指導者は自分が改革派のペゼシュキアン氏の名前を書いた投票用紙がカメラに見えるように投票箱に入れた。おそらくイラン国民の多くには意外な行動に見えただろうが、最高指導者の国民へのメッセージは明らかにペゼシュキアン氏への投票を呼びかけるものだった。

https://tabizine.jp/2019/07/17/274163/  より

 最高指導者は1979年のイラン革命を担った革命の第一世代だ。1989年に革命の指導者ホメイニ師を継いで二代目の最高指導者となったハメネイ師の最も重要な課題はイスラム共和国体制を安定させることにある。イランの大統領選は護憲評議会の審査で立候補できる人物が事前にふるいにかけられるが、イランの大統領は、保守、改革の性格をもった人物が交互に現れてきた。ハメネイ師は少なくとも今後4年間は保守派の人物に任せることができないと判断したに違いない。

親日国トルコ・イラン、心からありがとう。志村さんも、志半ばで亡くなるとは思ってもいなかっただろうけど、ドリフ世代として感謝の意を。 #親日国 #イラン 皆も忘れてはならない。中東も親日国家が多いということを。 https://x.com/anookata1973226/status/1245578938052571139

 イラン政治の最重要課題は経済の立て直しだ。イランではイスラエルとの攻撃の応酬があった4月に1ドル約65万リアルを下回るほど下落した。トランプ大統領の米国がイラン核合意から離脱する直前の2018年に1ドルは4万リアルほどで推移していた。イラン核合意は、イランを核兵器製造から遠のかせ、イランへの制裁を解除するもので、円滑に機能すると思われたが、トランプ大統領はこの国際的合意から理不尽にも離脱し、イランへの制裁を強化してしまった。バイデン政権はイラン核合意を再建できないままに任期4年目に入っている。

イランの人々は家族、親族、友人でのピクニックを好みます https://sophia-net.com/tehran/%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E3%80%8C%E8%87%AA%E7%84%B6%E3%81%AE%E6%97%A5%E3%80%8D%E3%81%AE%E6%A7%98%E5%AD%90/

 ペゼシュキアン氏は国際社会との宥和を目指していくだろうが、一番の不安要素はやはり米国でトランプ氏が再選されることだろう。トランプ再登場ということになれば、イランへの締め付けが強化され、他方、イランでも強硬派が台頭し、イスラエルと、ガザ、レバノン、またイランとの間で緊張や対立が深刻になることが憂慮される。

立派な指導者だと思います ハタミ大統領 文明間の対話 ~平和と暴力のない世界の構築、国家間の開発格差の是正、グローバル市民の形成をめざして~ https://jp.unu.edu/u-thant/khatami.html#overview

 イランのハタミ大統領はその在任時代(1997~2005年)に「文明間の対話」を提唱したが、それは米国ハーバード大学のサミュエル・ハンチントンが1993年に明らかにした「文明間の衝突」に乗り越えるスローガンでもあった。ハタミ元大統領にとって、文明とは「相互に出会いながら成長するもの」であり、「対話とは意識されたコミュニケーションである」と「言語」の重要性を説いた。ハタミ大統領は、「ブッダの慈悲に始まりイエス・モーゼ・ゾロアスターからピタゴラス・アビセンナ・カント・デカルト・ベルグソン、日本の俳諧からバッハ・モーツアルトなどに触れながら、「これら先人たちの残した美、理想、文化を知らねばならない」と語った。ハタミ大統領の呼びかけもあって、国連は2001年を「文明の対話年」とした。ハタミ師が推薦したペゼシュキアン氏の姿勢もこれに似通うものであるに違いない。イランの首都テヘランには「文明間の対話公園」もハタミ政権時代に造られ、日本庭園も置かれている。

アメリカはハタミ大統領の「文明間の対話」に応えるべきでした https://www.kosho.or.jp/products/detail.php?product_id=179952630

 対話こそが地球的規模の課題に対処できると思うが、イランを封じ込めたトランプ氏のような一国至上主義の発想や、米国のイスラエルとの同盟関係重視の姿勢では世界には分裂や対立しかない。日本も米国追従の外交ではなく、日本に期待や信頼を寄せてきたイランが国際社会に復帰できるような努力を払うべきだろう。岸田首相は曲がりなりにも日本イラン議員友好連盟会長を務めた人だ。ハタミ元大統領やフランシスコ教皇などが強調してきた「文明間の対話」を推進したほうが、米国追従よりはるかに国際社会から信頼や尊敬を得られることは間違いない。

表紙の画像はペゼシュキアン氏のバックグラウンド
https://digital.asahi.com/articles/DA3S15976682.html


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