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バルフォア宣言や国連パレスチナ分割決議には法的根拠がないと主張したキューバ
意外かもしれないが、1954年の革命前のキューバは、1947年の国連パレスチナ分割決議案、つまりイスラエル国家の成立に反対した国だった。キューバの反対は、法律家だったエルネスト・ディーゴ国連代表によって表明された。ディーゴはバルフォア宣言や国連の分割決議案には何の法的根拠がなく、また先住のパレスチナ人たちの権利を擁護せず、シオニストの入植者植民地主義は強制によって先住の人々の土地を奪うものであると主張した。
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キューバの主張は、パレスチナ問題の本質を突くもので、正論だったといえるが、現在ではイスラエルは先住の人々(=パレスチナ人)の土地や家屋をごく平然と奪うようになっている。スペインの植民地主義に抵抗して、独立したキューバだからイギリス帝国主義によるバルフォア宣言や、シオニストの植民地主義は許容することができなかった。イスラエル国家成立に反対したキューバの姿勢はその民族自決運動の遺産によるものだった。
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イギリスの覆面アーティストのバンクシーはパレスチナ問題の原因をつくったイギリスの国民の一人として、2017年のバルフォア宣言100周年の日にヨルダン川西岸に「アポロジー(謝罪)パーティー」を企画し、エリザベス女王に扮した人物にイギリスの裏切りが対立を招いたことを謝罪させた。バルフォア宣言は、イギリス外相バルフォアがシオニストたちにユダヤ人国家をパレスチナに建設することを約束したものだ。
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バンクシーはイスラエルがヨルダン川西岸に築いた全長700キロに及ぶ分離壁は世界最大のアートに変えられると述べる。バンクシー自身は天使が壁をこじ開ける様子や「火炎瓶ではなく、花束を」などを描いた作品を描いている。分離壁には世界中のアーティストたちが作品を描くようになり、大勢の観光客たちもそれを目当てに訪れるようになり、パレスチナ問題の矛盾を世界に訴えることになっている。
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バンクシーは、2017年、パレスチナのヨルダン川西岸ベツレヘムにあるイスラエルが築いた分離壁の真ん前に「Walled Off Hotel(壁に遮られたホテル)」を開業した。その名前にもバンクシーのイスラエルの分離壁への強い風刺や批判が込められている。ホテルのロビーには、防毒マスクをつけた天使たち、催涙ガスに巻かれる男性の彫像などバンクシーの作品が展示されている。
また、バンクシーの作品「地中海の眺め 2017年(Mediterranean Sea View 2017)」がイギリスのオークション「Sotheby's」で約2億5000万円で落札されたが、この収益は、ヨルダン川西岸ベツレヘムのBASR病院の脳卒中専門病棟と子どもたちのリハビリ施設の新設に寄付された。
イギリスがアラブの反乱を後押ししたのは「オスマン帝国を倒すためではなく、メソポタミアの小麦と米と石油を我が国のものとするためにである。私は祖国のために自分の誠実を捨ててしまった。(トーマス・E・ロレンス)」
1972年のミュンヘン・オリンピックの際に、イスラエルの選手・コーチが犠牲になった立てこもり事件を起こした後、パレスチナ・コマンドの司令官は「我々の作戦がオリンピックに参加した青年たちの心を傷つけたとしたら謝る。だが、24年間も土地を占領され、自尊心を踏みにじられ、苦しみ続けている者のいることを思い起こしてほしい。なぜテロと脅迫によって占領を続けているイスラエルが参加を許され、我々の旗は会場のどこにもないないのか」と述べた。「自爆テロはジハードの最高レベルであり、私たちの信仰の深さの表れだ。爆撃者は聖なる戦士なのだ。」(パレスチナ・コマンドの司令官)
著名な科学者のアインシュタインは、イスラエル初代首相のデヴィッド・ベングリオンによってイスラエルの大統領に就任することを要請されたことがある。アインシュタインは次のような言葉でそれを固辞した。
「イスラエルが最も重視すべきなのは、アラブ人に完全な平等を保障したいという願望を常に抱き、それを明確に表し続けることでなければなりません。アラブ人に対してどんな態度をとるかが民族としての私たちの道徳水準が試される本当の試金石になります。」