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「いちご白書をもう一度」 ―コロンビア大学の学生たちは「パレスチナ問題の公正」を訴える
1969年7月にジョン・レノンはプラスティック・オノ・バンドの名前でベトナム反戦歌の「平和を我等に(Give Peace a Chance)」をリリースし世界的にヒットさせ、この歌の中で繰り返される「All we are saying is give peace a chance/言いたいことは平和に機会をってことさ」というフレーズとともに、平和のメッセージを世界に浸透させることに成功した。「平和を我等に」は、1968年のコロンビア大学の学生運動を描いた映画「いちご白書」のラストシーンでも州兵たちに取り囲まれる学生たちが唱和するなどベトナム反戦の時代を象徴する歌となった。
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そのコロンビア大学をアメリカのマイク・ジョンソン下院議長が24日に訪れ、イスラエルのガザ攻撃を抗議する野営を行う学生たちに向かって「ナンセンスなことはやめなさい」と訴え、ネマト・シャフィク学長の辞任を求めるとともに、「いちご白書」の映画のラストような州兵の導入を示唆した。ナンセンスなことをしているのはジョンソン下院議長のように思われる。アメリカでも学の自由は保障されているし、大学の自治も認められ政治の介入は否定されるべきだ。また、イスラエルのジェノサイドをやめるように要求することは極めて正当なことのように思われる。
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アメリカの大学の学生たちもイスラエルによるアパルトヘイトやジェノサイドに気づき、反発や抗議の声を上げるようになっているが、アメリカの大学で中東研究を行う教員や研究者たちが参加する「北米中東学会(Middle East Studies Association of North Africa: MESA)」は、2022年1月31日から3月22日の期間にイスラエルへのBDS(ボイコット、投資撤収、制裁)運動への支持を問う投票を行い、768:167と圧倒的多数の賛成票で、つまり80%の会員が支持することで、同年3月23日にMESAが団体としてイスラエルへのBDS運動を支持することを決定したと表明した。このMESAの決定したところは大きく、アメリカの学問的良心はイスラエルによるアパルトヘイトを決して容認しない姿勢を見せた。この決定によってイスラエルの大学、研究者たちはMESAの大会に参加したり、MESAの雑誌に投稿したりすることができなくなった。
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米軍がガザの浮き桟橋の建設を開始した。ガザの人道危機の改善する物資を届けるためだそうだが、アメリカに求められているのは浮き桟橋の建設よりも、ガザ紛争そのものを止めることではないか。バイデン大統領は、国内の学生たちなどイスラエルの攻撃に抗議する人々の動静を見て、浮き桟橋の建設など人道援助に着手したと見られているが、イスラエルに影響力のあるアメリカを変えるには学生など若者たちの声がパレスチナの公平な和平の進展を求めることに期待するしかないように思える。
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日本人としても国際世論を盛り上げるための努力を継続することは当然だが、アメリカの世論がパレスチナ問題の矛盾に関心をもち、その是正や改善のために動くことは特に求められているように思う。24日、イスラエルのネタニヤフ首相は「アメリカの大学でおぞましいことが起きている」と発言したそうだが、それだけアメリカの学生たちの動静を危惧、危険視しているということだろう。
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アメリカの大学生たちにパレスチナ問題の希望を見る想いだが、アメリカでは先日紹介した大学以外に、ハーヴァード大学、ミシガン大学、テキサス大学オースティン校、スタンフォード大学などアメリカの政治・社会に影響力がある大学にも広がるようになっている。ジョンソン下院議長などは大学でのイスラエル抗議運動が反ユダヤ主義に転化すると主張しているが、学生たちの運動はユダヤ人の良心を取り戻せと言っているようで、ユダヤ人の本性とはネタニヤフ首相のような残虐なものではなく、ユダヤ人のエーリッヒ・フロム(1900~80年)が「一人の生命を救う者は誰でも全世界を救ったのと同じだ。一人の生命を滅ぼす者は全世界を滅ぼしたのと同じだ」と述べたようなヒューマニズム思想であると信じている。
表紙の画像はテキサス大学
オースティン校で
Pro-Palestinian students protest on the campus of the University of Texas in Austin, Texas, the United States. [Suzanne Cordeiro/AFP]
https://www.aljazeera.com/gallery/2024/4/25/photos-pro-palestinian-protests-spread-at-us-universities