イギリスの中東専門ジャーナリストは「欧米の恥知らずな行動を明らかにした鈴木史朗・長崎市長」を支持する
中東専門ウェブサイト「ミドル・イースト・モニター」(8月12日付)でイギリス人ジャーナリストのイヴォンヌ・リドリー氏(1958年生まれ)は、長崎の鈴木史朗市長を支持すると書いている。それは鈴木市長が正しいことを行っただけでなく、恥知らずな欧米世界においてイスラエルによる野蛮な行為と獣姦を暴露したという点で、支持と賞賛に値すると書いている。わかりにくいかもしれないが、昨日も書いたように、イスラエルのスデ・テイマン軍拘置所で、イスラエル兵によるパレスチナ人収容者に対する集団レイプや、また軍用犬による獣姦も行われたことが明らかになったにもかかわらず、G7諸国はこのイスラエルのひどい人権侵害に沈黙している。
アブグレイブやグアンタナモでの米軍の虐待はISなど過激派の欧米諸国に対するテロの動機となったが、スデ・テイマン拘置所におけるイスラエル軍兵士たちのふるまいはそれに匹敵する行為である。にもかかわらず、イスラエル軍警察がパレスチナ人収容者を虐待したイスラエル兵たちを逮捕・拘留すると、イスラエルの極右政治家たちは彼らの釈放を求め、収容者に対する虐待を支持する考えを明らかにしている。
リドリー氏は「米国とイギリスは、フランス、イタリア、ドイツ、カナダ、オーストラリアとともに、長崎平和祈念式典を大使たちにボイコットさせた。つまり、G7諸国は、戦略的に重要な同盟国である日本との関係よりも、ジェノサイドを行うイスラエルへの支持を優先したのである。」と書いている。まったくその通りで、欧米諸国は多くの国際法に違反するイスラエルとの関係を、長崎の被爆犠牲者たちに対する慰霊よりも優先させた。
日本ではあまり報道されることはないが、イスラエルのパレスチナ人収容者に対する虐待行為は欧米では大きく扱われ、リドリー氏も「何千人もの被拘禁者がイスラエルのキャンプに連れて行かれ、拷問され、性的虐待を受け、屈辱を受けてきた。道徳的な嫌悪感を抱かざるを得ないイスラエル軍がどのような戦争犯罪を行ったかは、もちろん、兵士たちがソーシャル・メディアで共有した、ほとんどポルノのような自撮り写真やビデオのおかげで、私たちは知るようになった。」と述べている。
リドリー氏は、G7の大使たちが鈴木市長にイスラエルを招待しなければ、ハイレベルでの平和祈念式典への参加が難しくなるという圧力をかけたものの、かりにイスラエルを招待すれば、平和を愛し、法を順守する国々の参加が困難になったのではないかとも述べている。
イスラエルは占領地であるヨルダン川西岸と東エルサレムに70万人のユダヤ人たちを住まわせ、彼らは厚くて、高い分離壁によって護られて暮らしている。ヨルダン川西岸には320万人のパレスチナ人が居住するが、イスラエルはパレスチナ国家を認めず、彼らに「国籍」を与えていない。ヨルダン川西岸におけるパレスチナ人の移動はかつての南アフリカのように、「パス(身分証)」によって制限される。パレスチナ人たちには基本的な人権も、労働の自由も、組合運動、教育の保障、言論の自由も与えられていない。まさにかつての南アフリカのアパルトヘイト政策で、国際社会の声が南アフリカのアパルトヘイト撤廃に力をもったように、パレスチナのアパルトヘイトにも同様な声を上げていくことが求められているが、それにもかかわらずG7諸国の大使たちはイスラエルを擁護した。
パリ・オリンピックの閉会式ではパレスチナ選手団を観衆はスタンディング・オベーションで迎えた。G7諸国政府とは違って、世界の一般国民レベルではイスラエルの圧倒的な軍事力の犠牲になっているパレスチナに対する同情が強い。長崎の平和祈念式典をボイコットした米国やイギリスなどG7諸国政府のふるまいは、これら諸国政府に対するネガティブな反応になって返ってくることは間違いないだろうが、傲慢な大使たちはそれに気づいていないようだ。
表紙の画像はリドリー氏