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国連の「パレスチナ人民連帯国際デー」と日本、占領の理不尽を訴えたラッセル
11月29日は国連が1977年に定めた「パレスチナ人民連帯国際デー」だ。11月29日は1947年に国連総会決議181号でパレスチナ分割が認められた日だったが、パレスチナ人にとってはその受難に大きく舵を切った日でもあった。パレスチナ分割決議を無効だと主張する国際法学者は、国連総会は憲章上、領域の帰属について決定を下す権限をもっていないこと、分割決議は内容的にパレスチナ人の自決権を侵害していることなどを指摘した。
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キューバ(革命前)は、1947年の国連パレスチナ分割決議案、つまりイスラエル国家の成立に反対した国だった。キューバの反対は、法律家だったエルネスト・ディーゴ国連代表によって表明された。ディーゴはバルフォア宣言や国連の分割決議案には何の法的根拠がなく、また先住のパレスチナ人たちの権利を擁護せず、シオニストの入植者植民地主義は強制によって先住の人々の土地を奪うものであると主張した。
パレスチナ分割決議を推進したのは、ユダヤ人差別や排斥の歴史をもつ欧米諸国で、ナチス・ドイツによるホロコーストや、ナチスによる弾圧から逃れたユダヤ人難民を受け入れなかった米国には贖罪の意味からもイスラエル国家建設に賛成した。また、特にヨーロッパの人種主義者たちには、ユダヤ人がヨーロッパを離れ、パレスチナに移住することは都合が良いことだった。ユダヤ人に対する暴力的襲撃(ポグロム)が激しかったロシア帝国を引き継いだソ連もパレスチナ分割決議に賛成した。
1977年にはイスラエルが支配する占領地のヨルダン川西岸はわずかに3%以下だったが、現在ではイスラエルが行政権と軍事権(治安権)をもつ地域(C地域)は60%にも及ぶ。昨年の「パレスチナ人民連帯国際デー」でグテーレス国連事務総長はイスラエルのガザ攻撃を受けて「愛する人を悼む何千もの家族に対して、心から哀悼の意を表すとともに、「パレスチナの人々が不可侵の権利を獲得しようとする強い願いに連帯を示し、すべての人々が平和、正義、安全、尊厳を持てる未来を築こう」と訴えた。
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1967年の第三次中東戦争でアラブ諸国に圧倒的勝利を収めて、パレスチナを占領したイスラエルはパレスチナ独立国家を認めず、ヨルダン川西岸や東エルサレムの占領地にイスラエル人の入植地を拡大させている。昨年10月7日のハマスの奇襲攻撃後、イスラエルによる入植活動は加速し、イスラエルの治安部隊や入植者によるパレスチナ人に対する暴力は増加した。今年10月に国連が発表した報告書では、前年よりも19%多い1万9500戸の入植地の建設が承認または推進された一方で1277棟のパレスチナ人が所有する建物が取り壊され、562人のパレスチナ人が治安部隊に殺害された。
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2017年の「パレスチナ人民連帯国際デー」で日本の河野太郎外務大臣は、「日本は、パレスチナの人々が、悲願である国家建設に向けて一歩一歩前進していけるよう、今後も支援していきます。当事者同士が対話をし、和平に向けた前向きな一歩を踏み出し、最終的な解決を実現するために、日本は、信頼醸成の取組を通じて、その環境作りに引き続き貢献していきます。 いつかできる限り早期に、パレスチナがイスラエルと共に平和に発展していくことを願って。」と述べた。
核廃絶を訴え、アインシュタインとともにラッセル=アインシュタイン声明(1955年)を出したイギリスの哲学者バートランド・ラッセル(1872~1970年)の人生最後の政治声明は中東に関するもので、声明の文書は1970年1月31日付、ラッセルの死の翌日の2月3日にカイロで開催された国際国会議員会議で読み上げられた。
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声明の中でラッセルは、1967年6月5日の第三次中東戦争の戦端を開いたイスラエル軍によるエジプトへの空爆に始まる先制攻撃がアラブ一般市民のイスラエルへの抵抗の意思を強化するものであり、イスラエルは過去20年間武力で拡張を続け、侵略のたびに「理性」に訴え、「交渉」を提案してきた。しかし、これは伝統的な帝国主義の流儀であり、新たな征服は力に基づく新たな交渉を呼びかけることになり、侵略が行われたという不正義を忘れさせることになっている。
イスラエルによる侵略は、外国の領土を併合する権利はどの国もっていないという点からも非難されねばならない。世界がどれほどイスラエルの軍事力による領土獲得を許容するだろうかとイスラエルは試している。パレスチナ周辺で暮らす数十万人もの難民たちは世界のユダヤ人たちに対する道徳的な試金石にもなっている。難民の多くは、仮設住宅での不安定な生活を送り始めてから30年目を迎えようとしている。パレスチナの人々の悲劇は、パレスチナという自分たちの国が、イスラエルという新しい国家創設のために、何十万人もの無辜の人々が永久に家を失ったことにある。新たな紛争が起きるたびに、パレスチナ難民の数は増えていったが、世界はこの理不尽で、残酷の光景に、いつまで耐えられるのだろうか、とラッセルは述べている。
パレスチナ人たちの悲劇は、ラッセルの時代から何ら変わることなく、改善されることもなく継続していることが実に歯がゆい。
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