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ペルシア文学の詩人ルーダキーの教訓 ―賢明な君主のもとでは民衆も幸せになれる

 ペルシア文学史上最初の本格的詩人(東京外国語大学ペルシア文学研究の佐々木あや乃氏の形容)とされるルーダキー(?~940)は次のような詩を残しているが、歴史を知ること、知識を深めることこそ地上における正義を実現する方途であることを教えている。

過去から何も学ばない者は、
師からも学ぶことはない
現世に人々が溢れる限り
これらの人々は全て知識を必要としている
知とは心を照らす灯りであり
あなたを全ての悪から守ってくれる

 ルーダキーは経験を重んじ、「人生の経験から必要なことを学べ。それは障害をのり越えるうえで役立つはずだ。」「人生から何も学ばなかったものは、いかなる師からも学ぶことはできないであろう。」と述べた。また、加藤九祚氏の著書『中央アジア歴史群像』によれば、ルーダキーは賢明な君主のもとでは民衆も幸せになれるとも考えていた。

日本の古本屋より



 「過去はいつか未来だった。そして未来はいつか過去になる」
(ルーダキーを主人公にしたアンドレイ・ヴォロスの長編 『パンジルードへの帰還』オギ、モスクワ、2013年)より。

 1991年にソ連から独立したタジキスタンは国家のルーツをサーマーン朝に求め、タジクがルーダキーの作品に起源をもつとして、ルーダキーによって国民的伝統と歴史を自覚するようにと彼に敬意を示す「ルーダキー記念日(9月22日)」を定めている。ドゥシャンベの街を南北に走る目抜き通りは「ルーダキー通り」と呼ばれ、タジキスタンの舞踊は古代ソグディアナの踊り(いわゆる胡旋舞)の伝統を継承していると言われる。ソグディアナはサマルカンドを中心的な都市とするザラフシャン川流域地方を指す古代の名称で、イラン系のソグド人が住んでいた。胡旋舞は唐代に伝わったソグド人の踊りである。

タジキスタン・ドゥシャンベ ルーダキー像 https://freeropeov.space/product_details/37890594.html


 モスクワ郊外の劇場で起きた大規模なテロでタジク人の関与が疑われている。ウクライナはシリアでの敗北によって流出したISのメンバーたちの避難場所となった。ウクライナ戦争もロシアでのテロの動機となったかもしれない。中央アジアでは1990年代のタジキスタン内戦時代からイスラムに訴える武装集団の活動はあったし、ウズベキスタン、タジキスタン、キルギスにまたがるフェルガナ盆地は、過激派の活動舞台であり続けている。2011年から始まるシリア内戦はこうした過激派のネットワークを築くことになった。

https://news.yahoo.co.jp/articles/be28db1b709f287485cc4d154d1be6758c6ceac0  より


 シリア内戦はISが中央アジアも含む国際的テロ・ネットワークを築く絶好の機会だった。たとえば、タジキスタンの警察特殊部隊司令官であったグルムロド・ハリモフはその軍事的知識と技術で、ISの戦争相に上りつめた。また、中央アジア出身者たちは、16年6月にイスタンブールのアタチュルク国際空港を襲撃し45人が犠牲となり、17年元旦にイスタンブールのナイトクラブ「レイナ」を襲撃し、39人が犠牲になった。17年4月3日にロシア・サンクトペテルブルクの地下鉄で自爆テロを起こしたのもキルギス出身者だった。同月7日にはストックホルムでウズベキスタン人がトラックで歩行者たちに突入し、4人が死亡した。中央アジア出身者たちはISの活動の先鋭的な性格を担っている。タジキスタンなど中央アジア諸国やロシアの為政者が賢明ならばテロなどは増殖しないと思うのだが・・・。

黒き瞳の乙女たちと楽しく生きよ
この世は幻に過ぎず、風のように過ぎ去ってしまうもの
来るべき時を楽しく迎えよ
過ぎ去った時を思い出すな
私と共にいるのは薫り高き巻き髪を持つ乙女
私と共にいるのは天女のような美しき乙女
恵み、楽しむ人は幸運な人
恵むことなく、楽しむことのない人は不運な人
ああ、この世は過ぎ去って行く雲と風のようなもの
酒を持ってくるのだ!なるようになれ! ―ルーダキー


タジキスタン・ドゥシャンベの大仏 2007年8月



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