ひたすら、スピッツの話をします。
以前の記事にも書いたように、最後に買ったCDは、スピッツの『醒めない』(2016, ユニバーサルミュージック)でした。
http://note.mu/miyatake0411/n/n3f6659ba4240
そうです。僕はスピッツが本当に、本当に大好きです。好きすぎてなんという言葉にして良いか分からないから、とりあえず「大好き」と言わざるを得ない。それくらい好きです。好きな人ができたら、とりあえずスピッツを聴きたくなる。それは時に「日なたの窓に憧れて」であり、「魔法のコトバ」であり、「僕の天使マリ」であり、「ナナへの気持ち」でした。それを聴くとその時好きだった人を思い出してしまう。だいたいみんな、結婚しちゃいましたね。別に悲しくはないです。ただ、時間が経つのは早いなと思います。人生は早い。僕も白髪が増えた。過ごした時間を、忘れることもいろいろあります。きっとそれは必要だから忘れられて行くのでしょう。けどスピッツを聞くと、写真を見返すように、その時に戻れる。人生におけるどの景色にも、スピッツはそっと、そこにいてくれました。そういう存在です。だから表せないくらい好きです。
最初に買ったCDはスピッツではなく、山ちゃん&レイモンドの『ジャバジャバモーニング』ではありましたが、スピッツのCDは比較的CDを買うようになってから早めに手に入れたような気がします。当時小学4年生の10歳で、僕が手にした人生最初のスピッツのCDは『フェイクファー』(1998, ポリドール)でした。
良いアルバムです。シングルカットの曲では「冷たい頬」「楓」「運命の人」「楓」が含まれます。けれど僕はこのアルバムでは5曲目の「仲良し」が一番好きです。
当時、何故かわからないけれど、小学校の僕の周りの友人で、スピッツのCDを集めることが流行っていました。時系列に合わせてシングルリリースを見てみると、「空も飛べるはず」や「チェリー」の世代よりももう少し後、具体的なリリースされたシングルCDで言うと「遥か」(2002)、「さわって・変わって」(2002)、「夢追い虫」(2004)あたりが記憶に残っています。その世代です。
周りの友人も、少ない小遣いをはたいて、競うようにスピッツのアルバムを買っていました。『ハチミツ』『8823』『インディゴ地平線』いろいろみんな持っていました。遊戯王カードみたいに。
僕の友人は、みんなスピッツのアルバムを買って、教室に持ち寄って、英語のリスニング用に教室に用意されたCDプレーヤーで休み時間にじっと息を潜めてスピッツを聴く。小学校高学年の僕の休み時間は、大体そうやって過ぎていったように思います。隣の机では定規飛ばしとか、練り消し制作に取り組むということが流行っていました。ただ僕たちは、ひたすらにスピッツを聴き続けた。そうして、あっという間に小学校を卒業しました。
思い出深いのは、「天神駅の改札口で 君のよれた笑顔」から始まる「さわって・変わって」。当時小学生であったと記憶していますが、あまりに販売日当日にCDが欲しかったため、販売日前日(2001年12月11日) から体調が悪いように装い、空腹でたまらないのにも関わらず、母の愛のこもった夕食を「ちょっと体調が悪いからあまり食べられない」と言い腹4分目くらいで抑え、翌日「熱っぽいから体温測っていい?」と聴いて親の目を盗み体温計を実家の猫の脇に挟み、体温計の数値を怪しまれない程度(37.6℃くらい、猫の平均体温は38℃〜39℃です)まで上げて、猫の脇から自分の脇に滑り込ませ、親に見せびらかし、小学校をズル休みした上で、共働きの両親が朝8:30に出勤し、一人で留守番となったとたん貯金箱をひっくり返し、お金をかき集め、10:00のオープンに合わせて近所のゲオに行き、シングルCDを買いました。猫よ、温かい温もりを、ありがとう。だから僕はずっと、猫派で居続けるよ。
先日出張で福岡に行きました。岩田屋の前で、止まない汗にくたびれながら、開店を待つ機会がありました。その岩田屋の動画で、「さわって・変わって」を取り上げたものがあります。
これを見た時、知りませんけれど涙が出ました。小学生でズル休みしたことを思い出しつつ、今遠く北海道から九州に来て、長いこと住み着いて、宮崎弁になりつつ、たまーに福岡の天神駅に行ったりしたときに、心のなかで「天神えーきの、改札ぐーちで」って歌っている自分がいたりして。「へぇ、人生って良く分からんもんですなぁ」って思ったりするわけです。
スピッツは常に共にあります。春夏秋冬、共にあり。季節のスピッツもあります。春には僕はアルバム『ハチミツ』、夏には『インディゴ地平線』、秋には『花鳥風月』、冬には『フェイクファー』を聴きたいと思っています。けれどもちろん、新しいアルバムも大好きです。
本日2019年10月9日。スピッツの3年2ヶ月ぶりのアルバム『見っけ』がリリースされました。迷いなく購入しよう、と思っていたらSpotifyで配信されている。更にサブスクリプションで『スピッツ』から全てが配信されていました。
2019年。嬉しいことは多々ありました。カブを購入して、水曜どうでしょうごっこが出来たこと、ぶっ壊れたカメラが修理を経て帰ってきたこと、職場のスタッフが楽しそうに働いていること。いろいろあります。けれどこのspotifyにおけるスピッツ配信は、それに匹敵するほど最高級に嬉しいこと。自由にスピッツが聴ける。最近まさに、スピッツの全アルバムを聴き直したいからレンタルしてこようかな、と思っていたところでした。
スピッツの新作『見っけ』はspotifyを通じてiPhoneにダウンロードしました。けど一切まだ聴いていません。今日の僕は(相変わらず)酒を飲んでしまっているので、一曲目の「見っけ」から12曲目の「ヤマブキ」まで聴くことはできません。ちゃんとピュアな状態で、今の自分を照らし合わせながら、一曲一曲と向き合いたいのです。だから、今聴こうと思えば聴き始められますが、聴きません。今度の休みに、ちゃんと1から12まで、通して聴きます。
それまでの前哨戦。以前持っていたけれど、引っ越しの際に友人に譲ってしまったスピッツのCDの曲を聴きながら、通しで休日にあたらしい『見っけ』を見っけられる日を楽しみに、もう少し自分を焦らします。
「スピッツで一番好きな曲は?」
良く聴かれますが、これは難題です。本当に難しい。全部大好きな中で、本当に大好きを選ぶ幸せというのは、難しいです。嫌いな中で、"比較的好き"を選ぶのは簡単かもしれませんが。大好きの中から選ぶというのは、オムライスとカレーライス、どっちが好き?に近いです。難しいですね。けれど僕の地元の「ラッキーピエロ」というハンバーガー店には「オムカレーライス」というオムライスにカレーをぶっかけたどっちも取りに行く、という野望と欲望に満ちたメニューが存在し、高校時代はそれを良く食べていました。だって悩むの辛いし。どうせならどっちも食べたいし。美味しいとこ取りだし。ちなみに、オムカレーライスは僕の高校の近くの、函館・松陰店で食べられますよ。
けどオムカレーライスとスピッツは別物です。だって、料理とバンドですからね。けれど強いていうならば、今この時期に僕が一番好きなスピッツの曲はシングル「さわって・変わって」のc/wで入っている3曲目の「稲穂」という曲です。小林とか、えびのをこの曲を爆音で聴きながらボーッと田んぼを見ていたいです。季節ごとに好きなスピッツは変わるんです。いっつも聴いているので。
スピッツの愉しみ方、愛し方もたくさんあります。ワンフレーズが好きなのか、曲の展開が好きなのか、はたまた雰囲気が好きなのか。
僕は草野マサムネ氏の破壊的、かつ本能的な歌詞が好きです。その中で好きなワンフレーズをあげること。これだけは僕にできます。好きな曲、思い出の曲はいっぱいあるけれど。
スピカという曲の、「幸せは途切れながらも 続くのです」というフレーズ。これで明日も頑張れる。(1998, 『楓/スピカ』, ポリドール)
おやすみなさい、途切れた幸せの中に眠る夜があっても、またちょっと後に続く幸せを信じながら。皆様に幸せがありますよう。