3年目の春

税理士法人に転職して3年目。脳を酷使する毎日にも慣れ、相変わらず税法は沼だけど、未経験の業界に飛び込んだ当初と比べて確実に成長している自分を感じながら仕事をする日々。そして、その集大成ともいえる業務が5月から始まった。

税務・会計業界は12月から繁忙期が始まる。年末調整、確定申告、そして3月決算先の5月申告業務。自分が担当する顧問先のうち3件が3月決算のため、ご多分に漏れず自分も5月末期限の申告にむけて激務が続いた。

転職した当初から「3年間は修行」と決めていて、その修行のピークの一つが今年の3月決算業務だと思っていたので、事前にしっかり準備をし、少しでも前倒しで業務を進めることで、5月の激務を緩和させようとしていた。

結論、「その前倒し業務をしていなかったら申告期限に間に合わなかったんじゃない?」というくらい仕事が終わらなかった。うちの会社は、申告・決算書を作成してから社内チェック(検算)が5回あり、その検算で間違いの指摘を受けると都度修正する。そして、その指摘によって数字が変わる場合、連動して利益や納税額も変わるので、あらゆる申告書を修正しなければならず、時にその指摘内容を見て眩暈がすることもある(その指摘をみて、漫画カイジのように目の前がグニャ~ってなるときが本当にある)。

また、僕の仕事はデスクで黙々と数字と睨めっこするだけではない。顧問先の社長や経理担当者とも適時連絡をしなければならない。申告書を作成するには経理担当者からの資料提供や会計ソフトの操作を指示しなければならず、それらが遅れると当然に申告・決算書作成も進まない。それでいて、社長ら経営陣は決算書を早く見たいため、急ぎで作成を進めなければならない。なにより、申告には期限があり、それを過ぎると延滞税がかかる。納期が法律で決まっているため、「すいません、多忙すぎて間に合いませんでした(テヘペロ)」はまったく通用しない。

そして申告期限の今日5月31日、自分は休日である。理由はすべて完了したから。いわゆる働き方改革で勤務時間に制限はあるものの、朝から晩まではもちろん、GWも仕事をした。そのおかげで、申告はもちろん顧問先への決算報告もすべて済ませた。決算書の内容は当然その会社の業績によって良し悪しがでるが、たとえ業績が悪くても、うちが作った決算書に社長や銀行、会計監査から間違いやクレームを言われたことは今まで一度も見たことも聞いたこともない。それは、先述どおり5回のチェックをくぐりぬけて出来上がった決算書だから。それくらい素晴らしい決算書であり、うちが日本有数の税理士法人である所以だ。

これで6月からは仕事が落ち着く、とそうはいかない。札幌支社は事業承継やM&A、相続などのスポット業務も多くあり、業界の閑散期とは関係なく大きな仕事が多い。税の沼から這い上がることに苦慮することは今後もずっと続くだろう。だけど、今回無事に終わらせることができたのは、今までその数多の沼から這い上がり、成長してきたおかげだし、そして今後ももがき続けていきたいなと思っている。そんなことを感じた、3年目の春だった。


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