日々のこと 0814
夏の大阪 備忘録
藤岡拓太郎・なんばベアーズ・鶴笑・スパイスカレー
●藤岡拓太郎原画展 @ブラックバード
素敵な品揃えの本屋さんで開かれていた、1ページ漫画の原画展。隅々まで細やかな心配りが行き届いていた。
藤岡さんという人はいつも黙々と手を動かし、自分がやるべきことをやり続けている人、という印象を持っている。そしてそれを人に喜んでもらうのが何よりうれしい! というシンプルな意思をすごく感じる人。原画展にもそんなお人柄が現れていて、全身で開催の嬉しさを訴えるような、見に来る人に惜しみなくサービス精神を振りまく楽しい展示だった。ひとつずつじっくり見た。
「合言葉」というのがあり、それをお店の人に告げるとカードがもらえるというのでチャレンジ。結構勇気が要った。長い時間レジ前を行ったり来たり、緊張して妙に力が入って恫喝のようになってしまったが、お店の人は眉一つ動かさずにポストカードを渡してくれた。
合言葉は「夏がとまらないですね」。
後で思ったのだけど、この言葉を口に出したことで、大阪で過ごした時間が全部そうなったような気がする。夏がとまらない。良い言葉。
●なんばベアーズ
MTpresents GREAT SUMMER ROCK'N'ROLL KISS
豊田道倫&mtvBAND/
どついたるねん/odd eyes/川本真琴
豊田道倫さんを大阪で。一度そうしてみたいと、ずっと思っていた。ようやく叶った。
前日はロッキンジャパンフェスに出演したどついたるねんのセットリストをたまたまSNSで見て「『生きてれば』は本当にキラーチューンだな~」とかぼんやり思っていたら、それを外していたどつ。とても良いセットリストだった。
私が前回どつを見たのは六月の名古屋。盛り上がっていたその時よりこの日のお客さんは数倍静かで、メンバーがフロアに飛び出してもそこにポッカリ空間ができてしまう感じ。にも関わらず、内容は数十倍よかった。「川」が素晴らしくて、泣きそうに。
圧巻のmtvBAND、豊田さんはバンドより弾き語りの方が好きだなぁ…と今まで何となくモヤっと感じていたのが雲散霧消。終わっても放心状態が解けず全身が動かず、その場に座り込みたいのを邪魔にならない場所までどうにか移動して、座り込む。
豊田道倫さんへの全出演者の愛とリスペクトが溢れた、本当に良いステージばかりだった。舞台に再び上がったどつメンバーを前に、豊田さんが披露した月亭可朝さんのエピソード、まっすぐ真剣な表情で受け止めていた山ちゃんが印象的だった。
終演後、冷牟田さんが「硬かっただろうか…」と心配そうに言っていた。こんなに良かったのに、本人はそんなこと思うんだな~と思った。豊田さんはすごくニコニコ楽しそうにしていて、もういくらでもニコニコしたらいいと思った。みんな幸せだった。
●笑福亭鶴笑 @天満天神繁昌亭
寄席に行くことになるとは予想外。思いがけず連れてってもらった。出てる噺家10組、一人も知らない。「退屈だったら中入りまで見て出よう」と言ってたら、あまりに面白くて最後まで鑑賞。
特にすごかったのが笑福亭鶴笑さん。「時そば」をベースにした「時ゴジラ」という演目で、そば屋でテレビを見ているという設定で劇中劇をやるのだが、テレビから現実へ戻る瞬間っぷりがもう最高。めちゃめちゃ笑った。後で調べたら「パペット落語」というらしい。こんな落語もあるんだなあ。
その高座後すぐに中入りだったのでロビーに出たら、和装のままゴジラセット一式を抱え「ありがとさーん!」と走り去る鶴笑さんに遭遇。これからなんばグランド花月とのこと。ご多忙。
終わった後は外で出演者たちが花道をつくり、お客さんをお見送りしてくれるのも驚いた。
寄席なんて数年に一度くらいしか機会がないけれど、大阪の寄席は会場中が笑いに溢れていて、本当に楽しかった。とにかく笑った。
大阪に着いて、はじめて口に出したのが「夏がとまらない」という言葉だった。出す機会をありがとう。とまらない夏の熱い大阪は楽しいことしか起きなかった。感謝。
(下)Curry Aveshiのスパイスカレー。開店前から行列。めっちゃ手が込んでて、並んだ甲斐ありあり。満足ー!