いろんなおいしい
料理をしない子供の頃からレシピを読むのが何故だか好きで、食べ物エッセイも大好物です。不精者で不器用なので、なるべくシンプルな材料で手間のかからないレシピを検索して探し出す、そこにかける労力は惜しみません。美味しいに越したことはないけど、全くグルメではないので、そんなに美味しくなくても大丈夫。シチュエーション込みで、食べること自体が好きなんだと思う。この一週間に味わった「おいしさ」の幅がいつもより広かった気がするので、なんとなく、書いてみたくなりました。
火曜日の午前に健康診断で、最近月曜の夜はずっとお店手伝いが入ってたのでお休みを頂きました。去年は仕事を辞めてから地方の友人を訪ねたり演奏したりと落ち着かず過ごすうちに健康診断をついつい受けそびれてしまい、年度が変わってからはコロナ禍真っただ中、しかしいい歳なので今年は何としても受けなければ、というわけでちょっと詳しめに検査してもらうコースを選びました。特に節制をしていた訳でもないのに、二日前の日曜日、近所のドラッグストアのおつとめ品ワゴンで一平ちゃんのやたら辛そうなやつを見つけて、健康診断が終わったら一平ちゃんをつまみに芋焼酎ロックでも飲んじゃう?と思いついていそいそと購入。カップ焼きそばをつまみに芋ロックを飲むのは、自分へのたまのジャンクなご褒美なのですが、思えばもう何年もやってなかった気がします。
高校からずっと付き合いが続いてる唯一の友人が暴食でストレスを解消するタチで、また一平ちゃん食べちゃったよって昔よく聞いたなーと先月会ったときに話題に出したら、最近はもう一平ちゃんはすっかり食べなくなったと笑ってました。結婚式を行った都内の高級ホテル(←縁がなさすぎて名前すら思い出せない)に年に一度宿泊できてルームサービスやら何やら食べ放題なので美味しいものをこれでもかと食べまくってきた、自分たちはお酒を飲まないけどお酒を飲む人ならさらにお得だ、というようなことを言ってましたが、わたしは今でも一平ちゃんに芋ロック…(しかも一人で)。年月を経てお互いいろいろ変わったけど、変わらず仲よくしてくれる友人の存在がありがたいです。話がそれました。
しばらくぶりの健康診断、前日夜9時までに夕食を済ませて0時以降は水も口にしちゃダメ、って意識に上っただけで変にストレスに感じられて、人間の欲ってむつかしいなと。気にしなければそんな大したことじゃないのに。
久しぶりの健康診断を終えて帰宅して、カップ焼きそばのケミカルでパンチの効いたジャンクな旨さを、冷たい芋焼酎でぐっと流し込む、背徳感がエッセンスの絶妙にワイルドなマリアージュ(←片仮名やけに多い)。YouTubeで数日前に見つけたゆらゆら帝国の日比谷野音ライブを鑑賞しながら、これも健康な体があってこそとしみじみ味わう四十路の午後でした。一平ちゃんを平らげてまだお腹が空いてたので友だちが送ってくれたブルーベリージャムをトーストに塗って食べた。ある意味とても贅沢と言えないこともない。っていうか健康診断を終えて早々に不健康が過ぎてないか。
翌日水曜日の夜はお店手伝いが入ってましたが、その前に、今月からカフェ営業を始めたKalaftaでおやつセットを頂いて、さらにシボネボルケまで足を延ばしました。
Kalaftaさんのおやつセットは手作りのアヒル形スコーンに飲み物つき、スコーンにはかぼちゃの種が入ってて、メープルシロップが添えられてます。前の週にはホットサンドセットを頂きましたが、どっちもとても丁寧に作られていて美味しかった。また行きます!
シボネボルケに行ったのは七月以来で、前のときは長引いた梅雨のさ中、今回は雑木林が色づいていて、いつの間にやらすっかり季節が変わってしまったなあとしみじみ。お店で焼いた地粉の天然酵母パンのトースト、自家製ジャムは何ですか?と聞いたら、紅玉と、あとパッションフルーツもあります、と教えて下さったので、わがままを言って半々で塗ってもらったのですが。これまでシボネボルケで何度もトーストを頂いてきて美味しいと知ってたけど、それにしても、飛び抜けて美味しすぎてびっくり。トーストに塗られたギーも今回は手作りだったそうです。さつまいものポタージュも滋養に満ち満ちた優しい味。店主のももさんとは、お互いにお互いのこと変わってると思ってて、微妙にタイプが違うんだけど大きな括りだと同じ種族なので、はずれ者同士のどこかズレた世間話に花を咲かせるのがいつもとても楽しいのです。
木曜日の夜は飲み友だちと池袋で待ち合わせました。コロナ感染者数がまた増えてきて先が見えないからせめて今、ということで、変に暖かい日だったしとりあえず缶ビールを買って公園へと向かったら、昔からあった公園がリニューアルされていて、以前は木が茂ってうっそうとしていたのに、芝地ができて上空の視界がぽっかり開けてレストランらしき建物もできて賑わっていて、なんだか池袋じゃないみたいだしどこかアジアの別の国っぽくもあり、これはこれでいいかも、と生ぬるい風に吹かれて景色や人々を眺めながらさらに缶ビールとハイボールをコンビニで追加で買ってきてビーフジャーキーをかじりつつなんてことない話をしました。お店も素敵だけどこういう時間も好きです。
金曜日は若干二日酔い気味で幼なじみとしばらくぶりのランチ。いつものように車で迎えに来てもらって、何食べたい?と聞かれ、強いて言えばカレーかなと答えたら彼女は食道炎と胃炎でスパイスはちょっとムリ、となって、隣町に新しくできたばかりの福祉系食堂へ連れていってくれました。働いていた図書館に数年前まで福祉喫茶が併設されていたので、障害のある方と働くおかあさんの優しく根気強い感じがとても懐かしい。図書館を利用されていた方もちらほらと散見され。図書館で働いてから、こういった公共の場所って世の中に本当に必要なんだなと身に沁みて感じるようになりました。野菜カレーを食べたけど優しすぎる風味でちょっと物足りなかったので、買って帰った無農薬ピーマンを使ってサバ水煮缶でなんちゃってキーマカレーをきわめて雑に作って夕飯に。子育てで忙しい友だちとは昔のようにゆっくり食べたり飲んだりなかなかできないけど、その分、こうやって会って話せる時間がより貴重に思えます。子供の手が離れたらまた飲みに行けるように、お互い元気でいたいねえ。
そして土曜日、やはり買って帰った無農薬の菜の花(じゃないかもしれないけどアブラナ科の野菜)でペペロンチーノを作ってお昼に食べよーと前夜からうきうき考えていたのだけれど、午前中、あれなんかわたし胃がちょっと疲れてる?ペペロンチーノじゃなくない?と不意に我に返って、炊いて小分けにして保存してる玄米ご飯とさつまいもで芋がゆを作りました。小さめの土鍋で炊いて、味つけは塩のみ。今のわたしに必要なのはこれだった!ペペロンチーノじゃなかった!としみじみ。けど夜はペペロンチーノを作ってしまった。期待通り美味しかった。
本日日曜日、このあと昼ごはんはまた芋がゆにするつもりです。健康診断の結果は粛々と受け止めたい。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?