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待ちに待った抗がん剤治療始まる

2023年2月24日金曜日

やっと抗がん剤の治療が始まった。1月末にがんだとわかったのに、治療前の必要な検査が混んでいて、1ヶ月も待たされていた。ぐずぐず検査してる間に転移したらどうすんの!と焦っていたから、来週からやりますよーと病院から電話が来た時には、待ってました!という感じで本当に嬉しかった。

その日から、「3時間ぐらい点滴をされているんだから楽な格好がいい? ジャージか、パジャマか? ベッドなの?椅子なの?」などと考えはじめた私は、はっきり言ってワクワクしていた。抗がん剤が健康な身体も破壊して、「抗がん剤のせいで死ぬ」なんていう意見があるのも知っている。そういう意見の人たちからしたら、アホか!と言われるんだろうけど、でも、ここにあるがんをさっさとやっつけて復活する、と決めたんだから、やるしかないのだ。リングに上がる前のボクサー、とか言ったらカッコ良すぎるけど、怖いけどワクワクする、アドレナリン全開な、そんな気持ち。

抗がん剤の点滴中に必要なものは?

3時間も点滴されて退屈だろうからKindleを持って、それから音楽聴いたりネトフリ観たりしたいからイアホンもしっかり充電しなくちゃ。あー、でも私のiPad古いから、ネトフリさくさく見れるかな、新しいの買っちゃおうかなあ? などと言っていたら、娘に怒られた。ママ、半年以上仕事できなくなるんだから、無駄遣いはダメですよ、と。バブル世代の私はすぐに無駄遣いをしそうになるけど、2000年生まれの彼女の世代は全然違う、経済観念がしっかりしていて驚く。

そういえば、イタリアでは基本、抗がん剤治療は全部、日帰り治療だそうだ。デイ・ホスピタルでやります、とのこと。入院なんかも超短くて、スパルタなので日本の人はびっくりするかも。23年前に娘を全身麻酔の帝王切開で産んだ時の入院日数は5日だった。日本だったら2週間コースよね、と元看護師さんだった友人に言われたっけ。さて、デイ・ホスピタルってどんなところだろう?

顔つきの悪い私の癌によく効く抗がん剤とは?

私のがんは顔つきが悪い。それは「HER2という乳がんの進展に関わるタンパク質が細胞の表面に存在しているのが主な原因」だそうだ。よくわからないけど、つまり悪性度が高い、死ぬ確率も高い? そういうこと。

ギャグ好きのドクターは「でも最近できたすごく効く薬があるから大丈夫!」と言っていた。その薬とは「トラスツズマブ」といって、1998年にアメリカFDAの認可を受けた、とウィキペディアには書いてある。日本では2001年に、そして私が暮らすEU内では2006年の5月から使われているから、最近、と言っても20年前ぐらいの話。それより前に私がこのがんになっていたら、助からなかったということ? 医学の進歩に感謝して、ありがたく治療を受けましょう。

ちなみにFDAっていうのは、アメリカ食品医薬品局(Food and Drug Administration)の略称。食品や薬などを取り締まるアメリカ合衆国の政府機関。色々黒い噂のあるところでもありますねー。

というわけで、私の治療プログラムは以下の通り。

EC療法 →乳がんの代表的な抗がん剤治療。手術の前に使ってがんを小さくして手術をしやすくしたり、手術後に再発防止のために使われる。っていうのを4クール、2週間おきに1回
これがちょっとキツイけど頑張ってね、とのこと。ここのところで副作用とか髪が抜けるとかがドバッと起きるらしい。

その後
パクリタキセルという薬と、例の「トラスツズマブ」という薬のカクテルを週に1度、12週間。こっちは随分軽くて、副作用もほとんどないのよー、と女医さんは言っていた。だといいけど。

以上、合計5ヶ月の抗がん剤治療が始まった。

病院は近い方がいいね。泣

まずは2週間に1回のきついやつ。抗がん剤の薬と一緒に、アレルギー反応などが出ないようにステロイドや抗ヒスタミン剤なども入れるから、眠くなる。だから車を運転して一人で来てはダメです、と言われ、はて、困った。

私が治療を受けるがんセンターは、車なら家から1時間ほど、の田舎町にある。日本と違って公共交通機関がイマイチなイタリアでは、抗がん剤でヘロヘロになって電車やバスを乗り継いで通うのは、かなりきついし、時間がかかる。でも夫とは別居しているし、娘は家から1時間ほどのブラという町でアパート暮らしをして大学に行っているから、送り迎えをしてくれる人はいない。タクシーなんか使ったら、いったい、いくらかかるのか分からない。車で1時間、と言ったって、高速道路や何もない田舎町をどーん、と走って1時間だから、信号に引っかかりながら都会を1時間走るのとは距離が違うのだ。

5ヶ月間、週末の自由を奪ってごめんね。

何かいい手はないのかな?と思って調べてみると、ありました。さすがイタリア。ボランティアで(ガソリン代だけ支払って)、抗がん剤治療の患者の送迎をするシステムがある。だけど連絡してみると、今はボランティアの数が少なくて、そっちの方まで行けません、と言われてしまった。

仕方がないので、治療はいつも金曜日、ということに決めてもらった。金曜日には授業がないという娘に、木曜日の夜トリノの家に戻ってきてもらい、翌日、私と病院へ。週末はヘロヘロになるかもしれない私の世話をして、日曜日の夜に自分のアパートへ帰るという、彼女にとってもハードな日々がスタートしたのだった。

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