現代短歌練習23

2018年短歌まとめ・4

加工した視界と言葉わたくしを現世に留める「いいね!」の通知

偽物の桜の花が落ちていて本物はもう雨の向こうへ

価値観の違いで離婚するのだし異動くらいはすんなりさせて

お誘いをはいと言えずにクリックの音でごまかす異動前日

決裁に名乗るものでもないですとここにいたこと全て消したい

よい人であるかどうかを仕事には持ち込まないで時計盤見る

距離感は安定剤の代替で他の言葉も一緒に飲める

ロッカーの名札を剥がす儀式後に名札を貼れるロッカー探す

垂れ下がるエンドロールの端っこで主役になった水曜日午後

せやけども優しいんよと繰り返す隣の席のコーヒー香る

愛してはいけない彼の横顔は一日分のカロリー超えた

こもれびのこぼれる音がさみしくて土曜日がもう終わってしまう

連作おしゃcafe

カウンター越しの背中に人見知りopen初日友は働く

お隣の席でおいしい聞こえるとわたしも嬉し母さん気分

オーダーの入った途端オーナーは癒し系から勇者に変わる

隠し味あしたあさってしあさってプリンに溶けた小さな野望

皿たちが歌う店内賑やかで甘い香りもリズムを刻む

鼻唄のもれないように気合い入れあちこち見てる不審人物

いつまでも眺めていたい空間に名残惜しんでお会計する

階段をふわふわ気分降りていくわたしの友をどうぞよろしく

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