現代短歌練習23
2018年短歌まとめ・4
加工した視界と言葉わたくしを現世に留める「いいね!」の通知
偽物の桜の花が落ちていて本物はもう雨の向こうへ
価値観の違いで離婚するのだし異動くらいはすんなりさせて
お誘いをはいと言えずにクリックの音でごまかす異動前日
決裁に名乗るものでもないですとここにいたこと全て消したい
よい人であるかどうかを仕事には持ち込まないで時計盤見る
距離感は安定剤の代替で他の言葉も一緒に飲める
ロッカーの名札を剥がす儀式後に名札を貼れるロッカー探す
*
垂れ下がるエンドロールの端っこで主役になった水曜日午後
せやけども優しいんよと繰り返す隣の席のコーヒー香る
愛してはいけない彼の横顔は一日分のカロリー超えた
こもれびのこぼれる音がさみしくて土曜日がもう終わってしまう
*
連作おしゃcafe
カウンター越しの背中に人見知りopen初日友は働く
お隣の席でおいしい聞こえるとわたしも嬉し母さん気分
オーダーの入った途端オーナーは癒し系から勇者に変わる
隠し味あしたあさってしあさってプリンに溶けた小さな野望
皿たちが歌う店内賑やかで甘い香りもリズムを刻む
鼻唄のもれないように気合い入れあちこち見てる不審人物
いつまでも眺めていたい空間に名残惜しんでお会計する
階段をふわふわ気分降りていくわたしの友をどうぞよろしく
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