現代短歌練習21
2018年短歌まとめ・2
人の死ももはや因数分解で求められずに受け入れられずに
他人事自分事への移ろいを加速できずに並ぶお通夜よ
容赦ない偽善の群れに追われ行く九月一日日はまだ長い
宿題とともに詰め込む溜め息にランドセルすら我を裏切る
花すらも置かれず君は旅立った座席表から消された名前
正解を求め戦う人の手に捩じ込む誇りそして埃と
高速の路肩に黒い靴下が迷いくたびれ死んでいく春
*
神様はお客様ですと思えればギャンギャン喚くありがたき言
東から太陽のぼる常識をつま先の向き変えて打ち消す
魔女狩りの一環として学歴と課外活動尋ねる社会
人はみな食卓塩を懐に隠し社会へ船をこぎ出す
*
螢火の向こうに消えた母がいて子のままでいるわたしの子宮
朽ちてゆく家屋に蔦と根は絡みここでわたしは生まれ育った
満月の光に伸べた指先に木蓮の香が優しく灯る
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?