現代短歌練習20

2018年短歌まとめ・1


嘘つきが子どもみたいに笑うから何度も角を曲がる一日

飛び出したその瞬間に分かるやろ世界を作るカラーコードが

病から食細くなり死に到る死に到るため食細くなる

刃こぼれのない言葉だけ通過する泣く術忘れて見る砂嵐

真夜中の合わせ鏡は饒舌に悪口ばかり我に向ける

悔しさを舐めとる舌の柔らかき蛇口の栓をまた弛めけり

ジグザグに歩き続けたはずなのにカラーコーンはまだ倒れない

わたしにとって川柳、短歌は怒りを発露する手段だった。
2017年、わたしの死生観に大きな変革をもたらした事件。
あれ以降、わたしはその手段をもって自身の言葉をいかに具現化するかを模索した。
縁あってアート作家ヒナレゥさんと二人展を開催することとなり、和歌の浦の地で「龍」をテーマにした短歌、川柳、そして初挑戦の俳句を書で表した。
「龍」は飛翔の象徴、強さの象徴だ。
これまで自分の思いをどう表現するか、どうしたらわたしの怒りや諦め、悲しみが伝わるのかと固執していたが、別の感情を詠むのも面白いなと思わせてくれた。
比べるものではないと思うのだけれど、好きなアーティストが暗い歌から少しずつ明るい曲調にシフトチェンジしていくのは一種の浄化だと思った。
わたしもここ最近明るい歌を詠えるようになり、ああ、わたしにはまだ感情が隠れていたのだと、そう思うようになった。
川柳や短歌を詠んで成仏しました、的な。
そうして改めて2018年に詠んだ歌をまとめてみた。
この後で川柳もまとめる予定。
2018年は一年という短い期間ではあったが某短歌結社に所属もしていて、色んな種類の、作風の、世界観の歌に出会うことができた。
今後も多くの歌に出会いたいと思う。
そしてわたしも多くの歌を詠みたい。

顔見えぬ人の言かと検索の窓を覗けば近所にいそう

能面に模した化粧に閉じ込めた怒り怒りだ君への怒り

死の満ちる部屋を隅まで見渡してこれがいわゆるコルクの壁か

青空が見えているのに窓ガラス染みていくよな雨は鈍色

消しゴムで消そうとすればするほどに濃さ増してゆく余計な言葉

シャッターを開いたままで刻み込む星の動きとわたしの呼吸

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