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Suzume in the UK
Suzume🚪🐥:
ずっと観たかったSuzumeこと「すずめの戸締り」を鑑賞。以下、ネタバレあります。⚠️
感想として、私の現在の研究に通ずるところがあると痛感した。また、修士の人文地理専攻で私がテーマにした「場所への愛着」や「場所の感覚」は、私自身の無意識の自然崇拝の感覚からも来ていた可能性があると説明できると。正直修士の人文地理ではなく現在の博士のテーマは教育分野ではあるが、教育分野での研究を通して場所と人との関係性の重要性も強調したいと感じていて、なぜ私が教育分野において人だけでなく、そのように強く感じるのか、新海監督のメッセージからヒントを得た。この点、自然は支配する物であるという西洋的視点の英国人教授らとの意見の相違を、私の思いが伝わらない度にこれまで何度か感じてきていたので、彼らにSuzumeの感想を伝えると共に、研究について話すときもSuzumeから学んだ視点を入れて伝えられそうだ。
🎦 日曜の午後、入りはそこそこ。In Western London, Kingston. 家族や女子グループ男性ソロなど。私もソロ活。真ん中センターにて。昨年の予告編発表からずっと観たくて上映直後のYoutubeの解説動画とか新海監督のインタビューを観ていたのでなんとなく内容は知っていた。だが、鑑賞後は3.11のテーマはもちろん、先述の通り、神道の自然崇拝を強く印象付ける作品であった。観劇後、思い出に日記に貼る用に紙のチケットを買えばよかったと後悔した。(´・_・`)
💬 作品内でいくつか記憶に残っているセリフがある。
我が家は、もともと祖先が神主であり幼少から祝詞をよく聞いていたため、祝詞の部分は懐かしいなと何度も感じた。⛩
他にも台詞を調べてると新海監督の言葉が出てきた。
1.「何かを始める時には地鎮祭のような祈祷儀式があるのに、終わっていくときには、どうして何もしないんだろう。亡くなった人にはお葬式が行われるのに、町や土地から人が消えて場所が失われる時にはそういった儀式がない。」
2.「他者に救ってもらう物語となると、まず救ってくれる他人と出会わなければいけないわけです。でも本当に自分を救ってくれるような他者が存在するのかどうか、わかりませんよね。『君の名は。』の瀧に出会えるわけでも、『天気の子』の陽菜に出会えるわけでもない。でも、誰でも少なくとも自分自身には会えるじゃないですか。」
これらの思いを知った後、喪失のテーマが個人と場所レベルで描かれていると感じた。上記の1に関する新海監督のメッセージは、廃墟で扉が人間の手によって閉める行為が場所の視点からの喪失の捉え方のように描かれており、2のメッセージはすずめ個人の旅を通して描かれていた。
1に関しては、場所はいつも人の意味づけによって形作られることから、人文地理の視点から見ていて非常に興味深かった。2に関して、個人的にはもう少しすずめ個人の成長の場面として彼女の葛藤の場面が観たかった。恋に落ちたとはいえ、また扉を開けてしまった責任感からとはいえ、初っ端から旅を決意し迷いもなく東北に向かっていったのが、テンポが早く見ていて楽しかったのだがすずめの迷いや立ち止まりの描写があった方が成長部分が強調されると感じた。。
だが、初見なのでこの点に関しては私の見落としがあるかもしれない。テーマが壮大であるが故に葛藤部分についてはあまりコマが割かれなかったのかもしれないが、次回はその点に注意して観てみる。本作品に限ったことではないが、何かをみるときの視点としては、次はどこに行くのだろう、この人は何とどんな人と出会うのだろうという目に見える点にばかり目が行ってしまうが、そこでの一つ一つの気持ちにも注目してみたい。そのように、いま感想を書いてみて自分の物を見るときの視点についても考えさせられた。
最後に、日本全国を旅するのは楽しかった。鑑賞後、日本のアニメのご飯の描写っていつもすごく美味しそうだよね!と話しているGirlsがいた。旅をするたびに思い出が作られて、喪失までは行かずとも、向き合わないといけないという意味で、私も扉を開けっぱなしにしている思い出のある場所はないだろうかと考えさせられた。きっとあるし、これからそんな場所をつくりそうだが、悩んだりしながらその過程を一歩ずつ歩んでいこうと思った。
Below,FYR:Makoto Shinkai interview by Crunchyroll