【コインチェック】カウンセリングスキルに学ぶ「ポジティブ面接」の作り方
こんにちは、コインチェック株式会社人事部労務管理Gの奥野です。
みなさんも、採用面接に関わる機会も多いと思います。
そんな中、「なんとなく盛り上がらなかったなぁ」「少し質問で面談者の方を追いこんでしまったのではないか」など、面接を振り返ってみて、「なんだか今日は気持ちのいい面接にならなかったなぁ」と思った経験はないですか?
私は2021年に、「産業カウンセラー」の資格を取得しました。
ここで学んだことをベースに、今回は、「ポジティブ面接」の作り方についてご紹介したいと思います!
1.大事なのはこの姿勢!
面接において大切な2つの姿勢についてご紹介します。
<ロジャーズの中核三条件>
とは言われても、なんぞや…というところで、面接において大切な心持ちをご説明します。
自己一致あるいは純粋性
面接官が演技的ではなく自分自身でいられ、面接者に正しいメッセージを伝えられる
無条件の肯定的配慮
面接者の語りに対して、受容、尊重、温かさを示す
共感的理解
面接者の視点に立って、面接者が表現していることや感じていることを、感受性豊かに受け取り、理解する
ここで大事なのは、
共感≠同感
共感=相手の気持ちを相手の立場になって感じること
同感=同情や自分の立場で相手の気持ちを感じること
面接で、同感してしまうと、相手の語りではなく、面接官の自分語りになってしまいがちです。
あくまでも「共感」の姿勢を忘れないように!
<傾聴の姿勢>
傾聴とは
面接者の言語、非言語の表現に積極的関心を寄せ、面接者が自由に、主体的に語ることを促進し、語りの内容や感情を正確に理解して応答すること
傾聴の効果
①傾聴することにより、面接者と面接官のラポール形成が図られる
ラポール=親和的関係
②カタルシス効果
面接者が十分に語れることで、カタルシス=浄化作用がもたらされ、スッキリした、という感覚が持てる
→今日は話したいことがたくさん話せた面接だった!!(好印象)
どうやったら傾聴の姿勢が取れる??
①あいづち、「ええ」「はい」など、話を聞いているよ、という姿勢を示す
②「大変でした」「うれしかったです」など感情の言葉が出てきたら、同じように面接官もその言葉を反射的に返す(「大変だったんですね」「うれしかったんですね」)
③相手が語っていることと、面接官の認識にズレがないか、時々話を要約し、伝え返す
2.そもそも面接にはどんな前提があるか
面接官も面接されている!!
あなたの印象一つで、今後自社のサービスを使ってもらえなくなったり、最悪SNSなどで態度が拡散され、会社イメージの低下に繋がることもあります。
面接は相手に語ってもらう場!!
面接者が感情を表すような言葉(うれしかった、つらかった、大変だった、など)を使ったり、そういった言葉が使われたエピソードに対しては、きちんとその感情やストーリーに共感の気持ちを伝えましょう。
面接者の心理的安全性を担保する
面接に臨まれる方は少なからず皆さん緊張していらっしゃいます。ありのままを話してもいいのだ、という安心感を与えられる場を作ってあげましょう
3.面接の始め方
まずは、今日面接に臨んでいただいたことに、感謝の気持ちを伝えましょう
アイスブレイク的に、ちょっとした会話(天気の話など)を入れてもいいです。
突然面接者の方の経歴紹介を促すなどではなく、会社の説明や、今回募集しているポジションの内容、募集背景などを説明するとよいでしょう
4.具体的にどんな質問をしたらいい??
それでは、実際に面接の場で、どのような進め方をすればいいでしょうか?
ここでは、面接◯✕集を少しご紹介します!
<志望動機を知りたい時>
❎今回来られたということは、現職に何かご不満があるということですよね?
→不満を聞く時間は無駄、自社へ期待することを聞く時間
🙆当社にはどんな魅力を感じられましたか?
→面接者の思う自社と実際の自社の印象のすり合わせもできる。かけ離れて入れば、マッチングが難しいかも
自然と、面接者から現状のできないことや今後やりたいことが語られる場合も
<職務経歴が聞きたいとき>
❎こちらの会社はどうして辞められたんですか?
→同じ回答が返ってくるとしても、ネガティブな印象
また、面接者はネガティブな理由で辞めたことを伝えないほうがよいと思っていることが多い
🙆なぜ次の〇〇という会社を選ばれたんですか?
→面接者の未来志向性が分かる
面接者の、会社の選び方(転職軸、価値観など)を知ることができる
<ネガティブなエピソードを聞いたとき>
(例)実はハラスメントに遭ってしまって…
❎どんなハラスメントだったんですか?
→面接者にとっては話したくもない辛い体験かも。
また、暗にストレス耐性を知ろうとしていると思われて、本当のことが言えなくなり、心理的安全性が低下する
🙆それはお辛い経験でしたね
→まずは共感。また、自社の会社風土(ハラスメントがないようにどのような対策や文化を作っているか)のアピールに繋げてもよい
<困難なシチュエーションに対する行動を知りたいとき>
よくみなさんがされる質問が、「今までで一番大変だった仕事は何ですか?」系の質問です。
(回答例)
〇〇という企画をするのに、他部署の部長陣に承認を得なければいけなかったんですが、やはりすぐには飲み込んでくれない部長もいて、企画の意図から説明して納得してもらうのがとても大変でした
❎どんな風に説明されたんですか?
→うまく話せないと論理的思考力がないと思われてしまう!と面談者の方が不安に感じる場合もあります
🙆説明してみて、どんなふうに変化がありましたか?
→その時の気持ちを振り返ってもらうことで、心理的安全性を担保しながら、具体的行動を語ってもらえることに繋がる
→自然と質問しなくても、そのプロジェクトの進行具合について語ってもらえることも
🙆それは大変なご経験でしたね、反対されたときはどのように感じましたか?
→まずは共感
理不尽だと思った、なぜ伝わらないのか分からなかった、自分の説明力不足だった、など、うまくいかなかったときに自責にするか他責にするかなどの傾向もわかる
<その他面接をポジティブにする質問集>
🙆仕事をしていて、うれしいと感じるときはどんな時ですか?
🙆どんな時にモチベーションが上がりますか?
🙆どんな風に仕事をするのが好きですか?
🙆ご自身の長所はどんなところだと思いますか?
→回答をもらったら、〇〇という点は当社の仕事の〇〇というところに活かせると思いますよ!などポジティブなリアクションを!
🙆当社でチャレンジしたいことは何ですか?
→どんな人材になりたいか、は堅く詰問的になるので、やりたいことを聞く
回答をもらったら、募集ポジションでどのようにチャレンジが活かせるかアピールする
🙆好きなことや好きなものは何ですか?
→好きなものを語るときは相手もうれしい
生き生きと語れるかどうかで、熱心さやコミュニケーションスキルもわかる
5.まとめ
ポジティブ面接は、面接者にとって好印象!
傾聴の姿勢を見せれば、話をよく聞いてもらったという安心感、スッキリ感も得られる
ポジティブ質問で、面接者がより語りたいと思う面接を
面接は、自社のブランディングにも繋がる大切な機会です。それだけに、面談者の方が「気持ちのいい面接ができた」と感じられることは、内定承諾フェーズにおいても、自社を選択してもらえる大きなファクターですし、たとえ選考に落ちてしまった場合も、「きちんと自分に向き合ってもらえた」と納得度の高い面接を構築することができます。
もちろん、面接者の方は、「この人について色々知りたい!」という思いも持って面接をされることかとは思いますが、「面談者の方が安心して話せる場」をつくることを最優先すれば、質問責めにしなくても、おのずと面談者の方が多くを語ってくれることでしょう。
ぜひ、「ポジティブ面接」に望んで見てください!
ありがとうございました!