昔の男へ
本当に突然に、昔の男から連絡が来た。
思い出すのは彼と過ごした日々だが、あの頃は何故か2人でお日様の下を歩くことはなかった。
付き合い始めた頃はそれをあまり考えていなかったが、そうなればなるほど不思議なくらい盛り上がるもので。
いつしか、密かに会うことがお互いの気持ちを昂らせていき、まともに恋愛することができなくなっていた。
今我に帰ると、なんであんな恋愛していたのか、そもそもあれは恋愛だったのか?
私が知らないだけで、相手には家庭があったのか?などと想像を巡らせていた。
だけど、私の気持ちは彼を好きだという事に変わり無かったし、会うことが楽しみで毎日頑張れたのだ。
結局私は何かに縋りたかったのか?
今は幸せに暮らしている。夫は再婚である私の連れ子をとても可愛がってくれるし、2人で将来のことも散々話し、親のことも考えてきた。
結婚とは周りがクリアに見えるもので、良いことも悪いことも全て受け入れるってことだ。それがなければ結婚はない。
そうだ、私は結婚後したかったのだった。今の夫に出会うまでの男は体の繋がりが目的だったり、単に世話をしてほしかったりで面倒なことは避けて通るやつばかりだったようだ。
そして、それは私も感じていたことで当時付き合っていた男には何も要求しなかった自分のせいでもある。
では、今はどうか?結婚してほしいという理由が私と子供を幸せにしたいというベタな理由だったが単純に嬉しくて、いろんなものがクリアになるたびに、この人のことを信じようという気持ちになったのと、もう恋愛のドキドキハラハラは必要ないと思ったからだ。
だから、昔の男から連絡が来ても返信はしなかった。少し思い出すことはあってもその部分はもう無いものとして、バッサリと切り落とした。
女とは残酷な生き物だ。でも、今の幸せを守るためには自分の思った道を進むのだ。
幸せの定義はいくつもあるが、私の幸せは今の幸せを守ること。マンネリ化した生活に少しスパイスを与えてくれた昔の男には感謝の念を捧げよう。
幸せになってください。