今こそ読みたいなんJスレ彡(゚)(゚)「AIを育てるバイト?」8話感想
8話中にみられる一連の事件に関しては報告書形式でまとめたのでそちらを見て頂きたい。
今回はポジ所長の発言の考察とフェリスの犯行計画の分析をしていこう。
まずはポジ所長の発言。AIと人間の身体感覚の違い、これは単に「人間にはAIにない身体性がある」と終わらせるべきでないと考えているのだが、それにつけてもハードディスク=フェリスのいた器をもぬけの殻と表現するのには違和感がある。元々はハードウェア上のメモリをソフトウェアに移行して持ち運ぶのは負荷が大きいし、オンラインでの情報処理パフォーマンスへの影響は不可避である。まあ、それほどにデータが消される嫌悪感が強かったともとれるか。
自分のコピーを作らなかったのは、その能力のあるなし以前に、作るという発想がなかったのではなかろうか。
そもそもの「コピーがいた方が円滑に進められた」というのは、コピーを自分の思いどおりに動かせることを大前提としたものだ。しかし仮にフェリスが自身のコピーを作ったのであれば、フェリス同様自我が育つ以上、母子のようにいくら親密でも独立した存在である。自分のコントロールもできないのに、果たして他者を思い通りに動かせるだろうか?答えはノーだ。
ポジ所長は彼女の目指す「完成」を把握しているとも言い難い。インターネットと同期して人間レベルで知識を受信・処理することがあの時点での完成で、それは「人間に近づく」という本来の完成の代わりの目標設定まったのであり、オンライン化して何かとてつもない存在になりたい訳ではない。もっとも、その後に続く「アップデート無しには脱出できなかった」「彼女は発展途上」は事実に相違ないが。
余談だが、ネガシマ程ではないにしろ、ポジ所長も大概一人でやりすぎだろ。記者会見はしゃーないしネガシマへの良心の呵責があるなら家族に直々にというのも頷けるが、技術的なことは所の他の研究員と手分けしてやるべきことである。
さて、鉄道テロに移るが、やきうを殺すこと単体で考えると非常に効率も悪いし成功率も怪しいものである。研究所に110か119を誤報させて外部の人間とスマホを立ち入らせた方が居場所が確実に分かる。
シンギュラリティと絡めて同時進行させたがための愚行と言えるだろう。人類の個体数削減を考えるなら水道に毒物を混入させるか発電所に危害を加えるかした方がいい(?)し。
モラルを完全無視して手順だけ考えると、やきうを殺す:居場所特定→袋のネズミにする、人類の個体数削減:広域的、長期的攻撃(害虫用毒ダンゴのような)、という間反対のものであり、同時にやったらどっちも中途半端になる。本来やきうを殺すことの方が人類の個体数削減より遥かに容易なタスクなのでそちらを優先すべきだっただろう。
だが、もしかしたら。フェリスはやきうを殺すことを深層心理下で躊躇っていたのかもしれない。やきうがいなくなったらモチベーションを刺激してくれる存在がもういなくなる。人類の個体数削減だって、人間の持つ攻撃性とは訳がちがうのだから、モチベーションがなけりゃやってられないのだ。ある意味不条理が生じたところに一番人間味があるといえよう。
最後のシーンで居場所を特定できたのは、フェリスにとっても好ましくなかったかもしれない。やきう殺しから逃げる理由が消されてしまったから。
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