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巣立ちの歌
12月に入った。2020年が「ほとんどなにもできない」という状態のままいつのまにか終わりに近づく。
コロナ禍で、入学式、卒業式、運動会や学芸会、修学旅行など、多くの学校行事が中止、または形式をかなり変えざるをえなくなった今年。
息子は中3だが、今年の2月以降ほとんどまともに吹奏楽部の部活動ができず、コンサートもコンクールも中止。慕っていた顧問の異動も重なり、そのまま夏休み明けに引退となった。不完全燃焼な気持ちを思うと掛ける言葉がない。
今年の担任の先生は「卒業式を、胸を張って迎えられるようにすることが一年間の目標です」と仰る。正直あまりピンとこなかったが、中学3年、義務教育の最後となる日は先生方も思い入れがあるのだろう。
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卒業式といえば合唱が付きもので様々な合唱曲が歌われていると思う。
私の母校の中学校では、こちらに書いたとおり、卒業生在校生そろって『タンホイザー行進曲』混声三部合唱(吹奏楽部生演奏付き)という、ド派手な演出だったので、これで”泣ける”というようなものではなかった。
ただ、やりきった感は半端なかった。だからなのか、その後の校歌斉唱で泣いてしまう生徒が続出した。
もちろん泣き虫の私もご多分にもれず「この校歌を歌うのも、今日が最後なんだ」と思ったら、歌いながら涙がこみあげてきた。式が終わって教室に戻る頃にはもう逆に笑っちゃうくらい号泣していた。
実は私が、歌を歌いながら泣いたのはこれが生まれてはじめてだ。
母校の校歌は、メジャースケールのごく普通の校歌らしい曲だ。昭和30年頃には出来上がっていたようだから、地名、校名、”学び舎”、”希望”、”理想”・・・といった校歌ど定番の歌詞が、四拍子の軽快でわかりやすいリズムに乗って歌われるもの。
どこにも”泣かせる”要素の無い曲なのに、この日以来、中学の校歌を思い出して歌うだけで、瞬殺で涙が出る。さらに、似たような曲調の校歌を学生が歌っているというシチュエーションだけで泣けるように仕上がってしまった。
どうか、生徒たちにとって、二度と巡り会えない中学校の卒業式が思い出深いものになりますように。
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ちなみに、高校の卒業式は体育館に整列もせず集まり、校長の式辞に拍手が起きるような変な学校だったので、式歌も無く校歌も合唱部の生徒しか歌わないままささっと終わった。もちろん涙は無い。
母校の小学校の卒業式で歌ったのは「巣立ちの歌」という曲で、私も妹もピアノの伴奏をした。
私は合唱曲が好きなので、youtubeで検索してきいて、良い曲だなとあらためて思ったのだが、自分の記憶にある伴奏譜とちょっと違う気がした。特に印象的だったサビの部分のアルペジオ伴奏、エンディングのトレモロが無い。そして逆に間奏が長い。
妹にきいても、確かに違うというので、ほかにもいろいろ探してみた結果、この曲の伴奏譜には何パターンがあることが判明。
私達の頃歌われていたのはこのバージョンだ。youtubeのコメントにあるようにこちらを0.75倍速で再生するとぴったりになった。
終わりに近づいて、緊張がとけて、エンディング一音ミスタッチしたんだよなあ・・・。