干潟の生き物たちはコロナ禍でも活発
干潟はまるで街のようで、生き物たちは生き生きと活動していた。天気の良い休日、人間たちは新型コロナウィルスに怯え、観光で人気の前浜ビーチでさえ、人影はまばらだった。宮古島は今年4月末からの緊急事態宣言下でも感染者はゼロで市内ではマスクをする人が多くなったものの、人が密集、密接する居酒屋やカラオケ店ではまるでコロナがなかったかのように楽しんでいた。しかし、ついに感染者が出てしまった。先月29日に県立宮古病院に勤務する女性の感染が確認された。さらに、今月1日には県独自の緊急事態宣言が発令され、新たに郵便局員の感染も分かり、島民は戦々恐々となっている。
同じ日、与那覇湾サニツ浜は潮が引き干潟になっていた。柔らかい砂浜には所々に穴が開ている。立ちながら殺風景だなと干潟をぼんやりと眺めていると、そこに生き物がいた。穴の中が動いた。恐る恐る出てきたのはカニだった。今度はしゃがんで干潟を見てみた。貝のタワーがあり、まるで街のシンボルのようだ。周辺には小さな貝たちが買い物なのかゆっくりと移動し、奥にいるカニは器用にハサミで昼食を取り、子供のような小さなウミウシたちは走り回っていた。当然ここでは三密回避やマスク着用もない。生き物たちの楽園だ。
いまの社会、人間は経済を回さないと生きていけない。コロナ禍で観光や飲食をはじめとしどの業界も収入減で苦しんでいる。どこかへ行くのにもマスクを持っているか確認が必要で、気軽に飲み会もできなく、買い物でさえ躊躇してしまう。人間も貝と同じ生き物だが、自然から離れすぎたのかもしれない。