チンチラ転生 第13話「アニキと思い出の道」
チンチラ転生~前世でチンピラだったはずの俺がチンチラに転生!こうなったらモフモフな可愛らしさでのし上がってやる!~
第13話「アニキと思い出の道」
飼い主のみずきが見せてくれた動画の中にいるのは、まん丸のくりくりお目目の可愛いチンチラ。
ひくひくと鼻を動かしているかと思うと、今度はくしくしと両手で顔を撫でまわしている。その仕草がやたらと可愛く見える。
「お名前はゆりちゃんって言うんだよ♪」
ナニソレ、名前まで可愛い。
前世が人間の俺に、チンチラの魅力がわかるのかとちょっと不安だったが、今の俺はとてつもなく気分が盛り上がっている!! 盛り上がっている!!
気分を落ち着ける為に、みずきの胸元に顔を挟んでみた。よし、もちろん落ち着かない。
ふふふ、今日はいい夢見れそうだぜ……
しっかし、まさかアニキとこの姿で会う事になるとは……
さすがにアニキにゃ俺の事はわからねえよなぁ。
* * *
運命の日は来た。
この時の為に、今日は朝からしっかり砂浴びしてきれいにして、念入りに毛づくろいもした。
イメージトレーニング()もバッチリ!!
俺はお出かけ用ケージに入れられたまま、みずきの親父さんの運転する車に乗せられた。
どうやら、これでアニキの家に行くらしい。
このバッグは、外が見えるような窓がついている。
チンチラの低い視点からだから、窓の外はチラリとしか見えないが道路の標識でなんとなくだけど、今いる場所がわかる。
この道を通るって事は、みずきんちってあのあたりじゃねえか?
うんそうだ。アニキたちとドライブした時に、よく寄っていたコンビニの近くだ。
アニキんちはそこから30分くらいのハズだから、結構ちけえよな。
そんな事を考えながら、外の風景を眺め昔を思い出すうちに、懐かしいアニキの家に着いた。
駐車場に見覚えのある真っ黒い車もとめてある。アニキの車だ間違いない。
親父さんが玄関のチャイムを鳴らすと、部屋の中からはーいと女の声がした。
うん? なんでだ??
アニキは独り身のはずだぞ??
<PREV
NEXT>
【『チンチラ転生』第1話から読む】