積み重なった山の記憶
昨日からTour de France 2024が始まったらしい。
このとんでもない自転車レースの存在、みなさんご存知だろうか。
3,500キロて。
つまり、北海道から南西諸島まで含めた日本の全長より長い距離を自転車で駆け抜けちゃう信じられないレースなのである。
普段は、フランス近隣諸国から始まって最後はパリにゴールするのが通例?なのに、今回はパリ五輪開催直前ということで、イタリアのフィレンツェからスタートし、最後は地中海沿岸のニースにゴールするらしい。異例・・・!
ちなみにツール・ド・フランスという言葉は、「フランス一周」という意味。その名の通り、開催当初は忠実にフランスを一周していたそうです。
いっそスポーツイベントやるなら国ごと巻き込んで、観光の起爆剤にしてしまえ!と思いつくあたり、さすがブランド大国フランスである。
日本の各地で地域をあげてウルトラマラソンとかを開催しているのも、ツール・ド・フランスから影響を受けている部分もあるのかもしれない。
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なんかツール・ド・フランスについて語りたい!みたいになっているが、そうではない。
半年遅れ(?!)の誕生日旅行に向けてドライブ中なんですが、ラジオで「ツール・ド・フランス」の話題をたまたま聞いて懐かしくなっただけなのだ。
2年前のちょうどこの時期、私はゆるやかに山に狂い始めていた。
山の師匠(自転車も大好きな方)と一緒に山に向かう車の中で、ずっとツール・ド・フランスのレースを観戦して大盛り上がりしていた。笑
そもそものレースの存在を知ったのも、なんとなくのルールを教えてもらったのもこの時だった。
たまたま聞いていたラジオの話題で、ツール・ド・フランスにまつわる記憶を思い返したわけだが、ここ2年間は山に狂っていたおかげで、どの思い出も「ああ、この時期は・・・の山に行ってた時期だな」と山がベースになって思い出されるという異常事態となってしまっている。
友達と旅行と称して行ったはずなのに、旅行先に目当ての百名山があれば、延泊してでもすかさず登って帰ってきていた。(もはや友達と旅行がしたかったのか、山に行くついでに友達と遊ぶ予定を入れていたのか分からない)
2年前、瀬戸内国際芸術祭にアート仲間たちと行くことになった時も「お!近くに愛媛の石鎚山、徳島の剣山、さらには鳥取の伯耆大山があるやないか!行っちゃお!」とアート旅行の前後にここぞとばかりに山の予定を詰め込み、意味がわからないくらい登山荷物にまみれてアートを楽しんだ。
こんな調子で、私の過去2年間(2021-2023)は完全にどの予定を切り取っても、必ずその前後に登った山も一緒に想起される奇怪な期間となってしまった。
ここまで局所的に「百名山チャレンジ」という特定のテーマに打ち込んだ時期は、おそらくこの短い人生でおそらく最初で最後(でありたい)だろうが、我ながらしっかり狂っていて面白い。
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過去の記憶と経験について、以前、元陸上選手の為末大さんがXで面白いことを投稿されていた。
「過去の経験を再生することが、今経験されていることの一定部分を占める」
確かに、きっかけはなんであれ、何かの拍子に山を思い出して、そのことを回想しているこの瞬間は今現在の経験(体験)である。
単純にツール・ド・フランス2024の話題から当時の山行のことを思い出しただけなのだけれど、人が記憶を思い出すことや過去の経験と現在の関係性って面白いと思う。
ふとした時に香る匂いがきっかけで何か過去の記憶を思い出すこともあるけど、自分の中で眠っている記憶が呼び起こされるきっかけってどこにでも転がっているものだ。
ここから数年は、もうしばらく山の記憶と共に過ごすことになりそう。
もっとも、山についての雑誌を作ろうとしているので、しばらくは好都合なのかもしれないけれど。
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